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Q9.早期胃癌を内視鏡ですべて治せますか?

早期胃癌のうち、内視鏡切除の対象となるものは、①一括切除(病変を周りの粘膜と一緒にひとかたまりに切除)が可能で、②リンパ節に転移している危険性がないものです。


従来行われてきた内視鏡切除の方法である内視鏡的粘膜切除術(EMR)では早期胃癌を一括切除するのに、病変の存在する部位、大きさ、病変部の潰瘍の合併の有無などいろいろな制限があり、すべての病変を一括切除することはとても困難でした。しかし、2000年頃に内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)という方法が開発されてから、技術的に一括切除が不可能と言う病変はほとんどなくなってきています。


早期胃癌を内視鏡治療ですべてなおせるか


リンパ節転移の危険性は、早期胃癌の細胞の型、深さ、大きさ、病変部の潰瘍の合併の有無などによって規定されます。リンパ節転移の危険性がない条件を満たす病変であれば、内視鏡切除の対象となります。具体的には以下の条件を満たす病変が内視鏡切除の対象です。


内視鏡所見による内視鏡切除の対象

  細胞の型 深さ 大きさ 潰瘍合併
絶対適応 分化型 粘膜内 ≤ 2 cm なし
拡大適応 分化型 粘膜内 > 2 cm なし
分化型 粘膜内 ≤ 3 cm あり
未分化型 粘膜内 ≤ 2 cm なし

上記の条件を満たさない早期胃癌はリンパ節転移の危険性があり、内視鏡による胃内の病変の切除のみでは、リンパ節などからの再発の可能性があります。そのため、胃の周囲のリンパ節を胃とともに外科的に切除する必要があります。


また、内視鏡切除を行った後にもリンパ節転移の危険性が無いかどうか、以下の条件について切除標本の顕微鏡検査で確認されます。


組織所見による治癒切除基準

細胞の型 深さ 大きさ 潰瘍合併 切除断端 脈管侵襲
分化型 粘膜内   なし 陰性 陰性
分化型 粘膜下層
≤500 µm
≤ 3 cm なし
分化型 粘膜内 ≤ 3 cm あり
未分化型 粘膜内 ≤ 2 cm なし

切除標本の組織検査で上記の条件を満たさない早期胃癌はリンパ節転移の危険性があり、やはり内視鏡による胃内の病変の切除のみでは、リンパ節などからの再発の可能性があります。そのため胃内の病変はすでに内視鏡で切除されていますが、胃の周囲のリンパ節を摘出するために、胃を外科的に切除する必要があります。


病変が内視鏡切除の対象であるかどうかは、たくさんの症例を経験している施設で相談されるのがよいかもしれません。


大阪府立成人病センター 上堂 文也

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