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Q16.大腸内視鏡検査は、どんな時に行う検査でしょうか?

大腸内視鏡はバリウムを注入して大腸粘膜を描出する「注腸造影」や炭酸ガスを肛門から注入してCT撮影して大腸立体画像を構築する「CTコロノグラフィー」といった大腸の他の画像検査に比べ①病変の色調を観察でき、②直接組織を採取して診断・評価できるところがメリットです。
 一方、①内視鏡が入らない大腸の狭窄がある場合や②病変の存在部位・形状の客観的評価には「注腸造影」や「CTコロノグラフィー」が優れる場面もあります。
 以前は注腸造影で異常があった場合のみ大腸内視鏡が行われていましたが、近年の内視鏡機器・検査技術の向上で直接大腸内視鏡が行われる場面が増えました。

大腸内視鏡検査は大腸の腫瘍や炎症など大腸内病変が疑われる時に行われます。
一般的に大腸の病変から腸管内に血液が漏れることが多いため

●血便があるときや便潜血検査が陽性の時
大腸の炎症では下痢を起こしやすく、大腸の腫瘍が大きくなると便が通りにくくなるため

●原因不明の下痢がある時

●原因不明の便秘・腹痛がある時

に大腸内視鏡検査が検討されます。


01大腸内視鏡検査の一番のターゲットは大腸腺腫(ポリープ)です。

大腸癌の10万人当たり罹患率は男性99.7、女性68.4(2006年)と年々上昇しています。
(年齢調整すると男性で64.1、女性で36.1と実は横ばい状態で、高齢化の影響があります)
大腸癌で大腸の狭窄が起きると便秘や腹痛、場合によっては下痢を起こします。
大腸癌の危険因子として
① 年齢(50歳以上)
② 大腸癌の家族歴
③ 高カロリー摂取および肥満
④ 過量のアルコールや喫煙
が言われています。
 40歳を境に急激に増加すること、便潜血検査の死亡率減少への有効性が40歳以上で示されていることから大腸がん検診は40歳から開始するのが良いと考えられています。
大腸癌やポリープができていないか50歳で一度大腸内視鏡検査を行う国もあります。
大腸癌やポリープは大腸全体に発生しますが、肛門に近い直腸からS状結腸にかけて60%が存在するためS状結腸までの大腸内視鏡が行われることがあり、複数の研究で死亡率減少効果が示されています。
 ご家族の中に大腸癌に罹った方が有る方や40歳以上の方は大腸癌検診の受診を、そして大腸内視鏡検査をお勧めします(便潜血検査では逐年または隔年による検診が推奨されています)。


01大腸内視鏡検査のもう一つのターゲットは潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患です。

潰瘍性大腸炎の罹患率は10万人当たり12.2、クローン病の罹患率は10万人当たり2.0で近年著しく増えています。大腸癌より若い10-30歳代で発症することが多いとされています。
 炎症性腸疾患では難治性の下痢や血便、発熱や体重減少を起こし、採血などの検査では貧血や炎症所見が見いだされます。

 炎症性腸疾患ではその原因と状態を調べるために大腸内視鏡検査が施行され、画像で病変の範囲や程度を評価するとともに組織を採取して炎症の程度と原因を評価します。
炎症性腸疾患では長期の経過で大腸癌が発生することが報告されており、治療経過の観察と評価とともに大腸癌検診目的で定期的に大腸内視鏡が行われます。


01便秘や過敏性腸症候群などの機能性腸障害では癌や炎症を否定するために行われます。

便秘や過敏性腸症候群の症状は大腸癌や炎症性腸疾患と同じで便秘・下痢・腹痛で、その診療は大腸癌や炎症性腸疾患などの器質的疾患が否定されていることが大前提です。
問診だけでは大腸癌や炎症性腸疾患を否定することができません。
 まずは便潜血検査が行われ、陽性の時に大腸内視鏡が行われますが、検便検査が陰性でも症状の原因が説明できないときに大腸内視鏡が行われることがあります。
 便が出にくい・出すぎる状態である便秘や過敏性腸症候群では大腸内視鏡が困難で苦痛が少なくないことが多いと報告されています。


01大腸内視鏡検査のリスク

大腸内視鏡による穿孔・出血などの発生頻度は当学会が0.012%と報告しており、おおむね1万件に1件程度とされています。大腸内視鏡検査全般に伴う死亡率は0.00082%とされています。
 大腸内視鏡検査はリスクの低い検査になってきていますが、検査時に常用薬の内服調整や食事制限、大量の下剤や洗腸液の内服など検査の準備だけでも身体への負担は少なくありません。
 検査の時にも腸管の運動を抑制する薬や痛みや不安を軽減する鎮静剤や鎮痛剤を用いることがあるため、体調が悪い時などは無理して検査を受けることはせず主治医と相談してください。


NHO久里浜医療センター 水上 健

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