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Q26.食道は内視鏡検査でどのような病気が分かりますか?

食道は咽頭から胃につながる約25cmの管腔臓器です。食道の主な役割は、口腔から入った固形または液体の内容物を胃に送るための臓器です。食道で最も心配な疾患は悪性腫瘍である食道癌(図1)です。



(図1.食道癌)


食道癌の診断に関しては、内視鏡治療により根治できるような早期の食道癌を発見することが可能です。

その他、隆起性の粘膜下腫瘍(小さなものの多くは良性)、肝硬変の患者さんに認めることのある食道静脈瘤(図2)は、出血を来たすことがあり、大きさによっては内視鏡的な治療が必要なこともあり、容易に発見することができます。


(図2.食道静脈瘤)

その他、近年増加している食道疾患としては胃食道逆流症があります。胃食道逆流症は良性疾患ですが、日常生活の質(QOL)を低下させることから問題となっています。胃食道逆流症には食道粘膜に炎症を認める逆流性食道炎(図3)と食道粘膜に炎症は認めませんが、胃酸の逆流によって起こる胸やけや呑酸症状を有する非びらん性胃食道逆流症があります。胃食道逆流症の60-70%は食道の炎症を認めない非びらん性胃食道逆流症です。逆流性食道炎と非びらん性胃食道逆流症を鑑別するためには胃食道逆流症の治療薬(主に胃酸分泌抑制薬)を内服していない状態での内視鏡検査が必要となります。その他、胃食道逆流症に合併することの多い裂孔ヘルニアを診断することができます。その他、2000年以降欧米において急増している食道のアレルギー関連疾患である好酸球性食道炎も特徴的な内視鏡所見を有することがあり、内視鏡検査により発見されることがあります。以上のように多くの食道疾患を内視鏡検査により発見することが可能です。


(図3.逆流性食道炎)

一方、内視鏡検査でわかりにくい食道疾患もあります。これらの疾患の原因として食道の動きの問題が考えられます。食道の機能の一つは、飲み込まれた食事内容物を胃内に運ぶことです。飲み込むのと同時に、食道の上部から収縮波が出現し、その収縮波が下方に伝播することにより、飲み込んだ内容物が胃に送り込まれます。この収縮波の異常が存在するとつかえ感などの症状を訴えることがあります。もう一つの重要な食道機能として、食道と胃の境界に存在する下部食道括約筋があります。下部食道括約筋は飲み込むのと同時に開き、飲み込んだ内容物を胃に送り出すために開きます。食道の収縮波が下部食道括約筋に到達すると開いていた下部食道括約筋は閉じます。その後は胃内容物が食道内に逆流しないように閉じた状態になっています。この下部食道括約筋の異常がみられ開きにくい場合には、やはりつかえ感、嘔吐の原因となります。下部食道括約筋の異常を有する主な疾患は食道アカラシアです。内視鏡検査で明らかな異常を認めないつかえ感や胸痛を有する患者さんの約75%には何らかの食道運動異常が存在すると報告されています。内視鏡検査で明らかな異常を認めない場合には、専門施設での食道機能検査によりつかえ感、胸痛の原因が明らかとなることがあります。



日本医科大学消化器・肝臓内科 岩切 勝彦

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