一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 Japan Gastroenterological Endoscopy Society

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Q27.小さな膵がんが内視鏡で見つかるって本当ですか?

膵臓は胃や大腸の背中側に位置するため直接観察が難しい臓器であり、小さな膵がんの画像診断は困難とされてきました。膵がんは従来から、大きさ2cm以内が早期診断の目標となっていますが、十分な長期生存を得られず、大きさ1cm以内では病気の経過についての医学的な見通しが良好となることが、日本膵臓学会の調査から報告されています。
しかし、大きさが1cm以内の患者さんは多くが無症状であり、血液検査での腫瘍マーカー(CEAやCA19-9など)の上昇も低率です。

(図1)

膵がんは大半が膵管(膵臓から分泌される消化液の一種の流れる膵管(径2-3mmの管)に発生することから(図1)、早期診断のきっかけは膵管が狭くなることで起こる膵管の拡張、膵液が溜まって袋状になる膵のう胞が多いとされています。

従来の画像診断は、主に腹部超音波(US)や造影CTを用いて“腫瘤(かたまり)”を発見して精密検査を行うことが一般的でしたが、大きさが1cm以下の膵がんでは、腫瘍を直接認める割合が低率です。

(図2a:EUSの構造)
(図2b:微小膵癌EUSの画像(腫瘍径8mm))

一方、内視鏡の先端に超音波装置が装着された超音波内視鏡(EUS)(図2a,b)では、その割合が85%以上とされ、USで膵管拡張や膵のう胞を認めた場合は、無症状でも積極的にEUSを行うことが重要です。またEUSで“腫瘤”が発見された場合、がんかどうかの確定診断にはEUSガイド下穿刺吸引法(EUS-FNA)による細胞診が有効です。

大きさが1cm以内の膵がんでは、がんがすでに膵管の周囲に増殖して広がる”浸潤性膵がん“が多く、さらに早期の”上皮内がん“(がんが膵管内のみに存在)の段階で診断することが理想的です。上皮内がんは、USやCTで認められた膵管の軽微な拡張や膵のう胞が診断の契機となることが多く、次に磁気共鳴胆管膵管造影(MRCP)やEUSを行います。その結果、主膵管または分枝膵管の一部に狭窄や拡張が認められた場合には、内視鏡的逆行性膵胆管造影(ERCP)を行い、所見に応じて膵管にチュ-ブを留置し、複数回の膵液細胞診を行うことが診断に有用とされています。

無症状でもUSなどで膵管の異常や、膵のう胞などを指摘された場合は、近隣のがん診療連携拠点病院などで、膵に関する画像診断を受けることが早期診断に有用です。

 

JA尾道総合病院消化器内科 花田敬士