日本消化器内視鏡学会

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3.4)胆・膵内視鏡検査と治療

 胆道(胆管・胆嚢)や膵臓に対する内視鏡での検査・治療について説明します。口から内視鏡を入れて行います。主に使うのは十二指腸鏡か、超音波機能が付いた専用スコープです。胃や小腸の手術で消化管のつなぎ方が変わっている方には、先端に小さな風船が付いた小腸用スコープを使うこともあります。通常は、点滴で鎮静剤(よく眠くなる薬)を投与してから行います。以下に具体的な手技を紹介します。

(1)内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)

 ERCPで検査・治療する病気には、胆管結石(胆石が胆管につまる)、胆管の狭窄や閉塞(腫瘍や炎症など。閉塞性黄疸になることがあります)、膵管の狭窄(腫瘍や炎症など)などがあります。ERCPは、内視鏡を胆汁や膵液の出口である十二指腸乳頭まで進めて行います。大きさ2~3mmほどの乳頭に細いチューブ(カテーテル)を入れ、胆管や膵管に造影剤を注入し、X線(レントゲン)を見ながら管の中の様子を確認します。そのうえで、目的に応じて胆石を取り除いたり(結石除去)、狭くなった胆管(胆管狭窄)に通りを良くする小さな管(ステント)を入れたりします。石を取り出したり太いステントを入れたりするために、電気メスで出口を少し切り広げる内視鏡的乳頭括約筋切開術(EST)や、風船で出口を広げる内視鏡的乳頭バルーン拡張術(EPBD)を行うことがあります。内容は目的によって変わりますので、詳しくは担当医におたずねください。

 

(2)超音波内視鏡(EUS)

 EUSは、先端に超音波装置が付いた特殊な内視鏡を口から胃・十二指腸に入れ、胆嚢・胆管・膵臓を観察する検査です。お腹の上から行う超音波では、胃や腸のガスが邪魔になり、膵臓や胆管を細かく見るのが難しいことがあります。EUSは胃や十二指腸の中から近い距離で超音波を当てるため、ガスの影響を受けにくく、膵臓や胆管を詳しく観察できます。胆嚢ポリープ、総胆管結石、胆管腫瘍、膵嚢胞、膵腫瘍などの精密な評価が可能です。さらに、スコープの先から細い針を出し、消化管の外にある病変から組織を採る超音波内視鏡下穿刺吸引法(EUS-FNA)も行われます。EUSで膵腫瘍やリンパ節の腫れが見つかったときなどに行う検査です。

 

(3)超音波内視鏡ガイド下胆道ドレナージ術(EUS-BD)

 EUS-BDは、ERCPとEUSを組み合わせた治療です。基本的に、ERCPで胆道ドレナージ(胆管にステントを入れて胆汁の流れを良くする治療)が難しい場合に検討される選択肢の一つです。EUSで胃や小腸から胆管を映し出し、その部位をEUS-FNAの針で刺して胆管の中へ進みます。刺したところを広げたあと、ステントを入れます。この方法により内視鏡による胆道ドレナージの成功率が上がり、今後さらなる発展が期待されています。ただし、本手技は重篤な偶発症が生じうる手技ですので、胆膵内視鏡の専門医に加えて外科や放射線科などの体制が整った医療機関で行うべき手技です。実施の有無は担当医にご確認ください。

(4)偶発症

 これらの検査・治療は全国で広く行われ、有用です。一方で、偶発症が起こる可能性もあります。ERCPやEUSで起こりうるのは、膵炎・消化管出血・胆管炎・消化管穿孔などです。EUS-BDでは、消化管から胆管を刺したあとに胆汁がお腹の中にもれる胆汁性腹膜炎などが特有の偶発症として知られています。偶発症が起きた場合は、入院や緊急の処置・手術が必要になることがあります。日本消化器内視鏡学会の2019~2021年の全国調査では、診断的ERCPは0.169%、治療的ERCPは1.619%、EUS観察は0.46%、EUS-FNAは0.473%と報告されています。さらに、EUS-BDに関する最近の論文報告(システマティックレビュー)では、偶発症は13.7%とされています。手技を受ける際は、担当医から得られる利益と起こりうる偶発症について十分に説明を受け、理解したうえでお受けください。

 

静岡医療センター 消化器内科
松田 浩二
(2016年12月9日掲載)

 埼玉医科大学国際医療センター 消化器内科
谷坂 優樹
(2026年1月23日掲載)

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