理事長挨拶
― 伝統を継承し、One Team JGESで拓く内視鏡医学・医療の新たなステージ ―
理事長 藤城 光弘

新緑の候、日本消化器内視鏡学会(JGES)の活動に日頃より格別のご理解とご支援を賜っております会員の皆さまに、心より御礼申し上げます。
我が国の消化器内視鏡医学は、1950年の胃カメラの開発に始まり、1955年の胃カメラ研究会、1959年の日本胃カメラ学会の創設へと発展してまいりました。その後、1961年の日本内視鏡学会への改組、1973年の日本消化器内視鏡学会設立を経て、JGESは歴代の先生方と多くの会員の献身的なご尽力に支えられながら、日本発の内視鏡医学を国内のみならず海外へ導く中心的役割を果たしてまいりました。
この輝かしい歴史が示すのは、JGESが常に「技術革新」「学術的体系化」に加え、それらを日常診療へ還元する「教育・実装」を重視してきた学会であるという点にございます。すなわち、研究成果を確かな診療へと結びつけ、教育を通じて普遍化する営みこそが、本学会の根幹であります。
そして現在、医療を取り巻く環境が大きく変化し、先行きの見通しが容易ではない国際的な潮流のなかにあって、私たちは次の時代に向けて、教育・診療・研究の調和のとれた発展を基軸としつつ、JGESとして果たすべきリーダーシップを明確にし、方向性を共有しながら着実に実行へ移す段階に立っております。私は今後の学会運営において、One Team JGESのもと、教育・診療・研究の質向上を基盤とした以下の三本柱を掲げ、JGESの持続的かつ国際的な発展を目指してまいります。
第一の柱:国際化
― JGES International と Joint Symposium の充実 ―
JGESは、日本古来の視るを大切にする文化と匠の技に立脚した日本発の内視鏡医学を世界に発信してきた学会であります。その伝統をさらに発展させるため、JGES Internationalを国際連携の中核と位置づけ、ESGE、ASGEをはじめとする海外学会とのJoint Symposiumを一層充実させてまいります。
単なる交流にとどまらず、教育プログラムの共有や診療水準の相互向上を含む双方向かつ継続的な学術連携を通じて、若手医師の育成と知の循環を促進し、国際社会から信頼されるパートナーとしてのJGESの存在感を一層高めてまいります。
第二の柱:認定・専門医制度の進化(教育・診療)
― 社会と世界に開かれた多層的認定制度へ ―
学会の信頼性は、専門医制度の質、すなわち教育体制と診療水準の担保に大きく依存いたします。
JGESでは、専門医については機構認定専門医を基盤としつつ、内科のみならず、外科、小児科、救急科、臨床検査科、放射線科を基盤とする横断的な学会として、診療実態や社会的要請に即した形で、スクリーニング認定医や高度技術認定医(創設の検討)といった、役割と専門性に応じた多層的な認定制度の整備を進めてまいります。
これらは資格の細分化を目的とするものではなく、段階的な教育体系の整備と、それに基づく質の高い診療の実現を目指すものであります。診療技能の可視化、患者安全の確保、地域医療への貢献を重視しつつ、社会から信頼される制度構築を推進してまいります。
さらに、Japan Endoscopy Database(JED)との連動、継続教育の充実、透明性ある評価体制を通じて、国内外に通用する認定医・専門医制度へと発展させてまいります。それにより、海外医師が国際会員として認定医資格を取得できる仕組みの検討を進め、教育と診療の両面における国際的な人材交流を促進してまいります。
第三の柱:学会主導研究の推進(研究)
― JEDを基盤としたエビデンス創出 ―
JGESが有する JEDは、我が国の内視鏡診療の実臨床を反映した、世界的にも極めて価値の高いデータ基盤へと発展してまいりました。
今後はこのJEDをさらに積極的に活用し、学会主導による臨床研究・アウトカム研究・質評価研究を推進してまいります。
これらの研究は単なる学術的貢献にとどまらず、日常診療の質の向上や教育内容の改善に直結するエビデンスの創出を目的とするものであります。得られた知見を診療指針や教育体系へと反映させることで、「量の蓄積」から「質の高い医療と教育を支えるエビデンス創出」へと、学会の研究力をさらに高めてまいります。
最後に、1950年の胃カメラ開発以来、長きにわたり培われてきたJGESの伝統は、変革を恐れず、未来を見据えながら、研究・教育・診療を一体として発展させてきた姿勢そのものにほかなりません。
今後も、One Team JGESとして会員の力を結集し、逆戻りすることなく、内視鏡医学・医療を新たなステージへと着実に導いてまいりたいと存じます。
理事長として、その責務を全うすべく精一杯努めてまいりますので、何卒一層のご理解とご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
2026年5月12日