一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 Japan Gastroenterological Endoscopy Society

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胃ポリープについて、過形成性ポリープと胃底腺ポリープの違いは何ですか?

過形成性ポリープと胃底腺ポリープ

胃ポリープとは正確には「胃に発生する上皮性、良性、隆起性病変」のことをいいます。広義には腺腫、粘膜下腫瘍、癌など胃の中に隆起した病変の総称として使用されることもあります。胃ポリープは過形成性ポリープ、胃底腺ポリープ、特殊型(炎症性、症候性、家族性)に分類されます。一般診療で多くみられるのは過形成性ポリープ(写真1)と胃底腺ポリープ(写真2)です。

写真1 過形成性ポリープ

写真2 胃底腺ポリープ

写真2 胃底腺ポリープ

過形成性ポリープは概ね赤色で胃のどの部位にもみられ、大きさは大小様々で、単発の場合もあれば複数みられることもあります。ヘリコバクター・ピロリ(H.pylori)陽性(感染している)で萎縮性胃炎のある胃に発生します。H.pylori除菌治療で、ポリープが縮小もしくは消失したとの報告もあります。過形成性ポリープは頻度こそ高くありませんが、がん化することがありますので、年に1回程度の内視鏡検査を受診すべきと考えます。
一方、胃底腺ポリープは周囲の粘膜と同じような色調を呈する大きさ2,3mmの小さなポリープで、胃体部、特に大弯側に複数みられることが多いです。H.pylori陰性できれいな胃に発生します。今後、H.pylori陰性者の増加に伴い、遭遇する機会も増加することが予想されます。また、胃食道逆流症(GERD)などでプロトンポンプ阻害薬を服用するとポリープが腫大したり、数が増加するとの報告もあります。胃底腺ポリープでの癌発生例も報告されていますが、その頻度はきわめて低いので心配する必要はありません。


ポリープ切除(ポリペクトミー)の適応について

過形成性ポリープも基本的には経過観察でよい病変です。まずは大きさ2cm以上で増大傾向を認めるもの、がん化(がんの併存)の可能性があるもの、出血し貧血の原因となるものを切除(ポリペクトミー)の適応と考えます。なお、抗凝固薬、抗血小板薬を服用している方は、切除時に出血することもあり、切除の適応を慎重に決定すべきです。胃底腺ポリープの処置は原則、不要です。

 

東京女子医科大学 消化器内科

中村真一