細径経鼻内視鏡は、近年急激に普及しています。本項では、細径経鼻内視鏡の特徴を通常径経口内視鏡と比較しながら説明させていただきます。
細径経鼻内視鏡の直径5-6mmであり、通常径経口内視の8-9mmと約半分です。現在経鼻内視鏡は、オリンパス社、フジフイルム社、ペンタックス(HOYA)社から販売されています。会社により多少の差はありますが、細径経鼻内視鏡でも、CCD、ライトガイド、送気、吸引(生検鉗子孔)を装備しています。以前の細径スコープは、左右アングルが無かったり、ライトガイドが1つであったり、問題点が多く挙げられていましたが、近年のスコープはほぼ改良がすすみ、通常径経口内視鏡と同様なスペックを装備しています。
スペックは通常径経口内視鏡と同様に装備されていますが個々の機能は経口内視鏡に比べ小さかったり、劣ることもあります。例えばポリープなど発見した場合は、経鼻内視鏡でも組織採取は可能です。しかし早期胃癌の内視鏡的治療は、鉗子孔など小さく、切除用処置具の通過が困難であり原則として行いません。
経鼻内視鏡は、経口内視鏡に比べてスコープが舌根部に触れないため、嘔吐反射が少なく、径が細いため挿入もあまり気にならないことが多いです。
経口内視鏡は検査中(特に食道入口部挿入時)に心拍数、血圧が上昇することが多いため、心筋酸素消費量(心拍数×収縮期血圧×10-2(double product))は増加します。一方経鼻内視鏡は検査中も心拍数、血圧ともにあまり変化しないため、心筋酸素消費量も変化しません。酸素飽和度は、経鼻では口呼吸可能なため変化せず、経口では鼻で呼吸するため、人によりわずかに低下することがあります。
経鼻内視鏡と経口内視鏡はそれぞれにメリットとデメリットを持ち合わせています。担当医の先生とよく相談し、どちらの検査をお受けになるかを決めてください。