一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 Japan Gastroenterological Endoscopy Society

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第2回 内視鏡検査・周術期管理の標準化に向けた研究会

2017年5月13日 1:10 PM - 4:00 PM

代表世話人:

 藤城 光弘(東京大学医学部附属病院光学医療診療部)

当番世話人:

 溝上 裕士(筑波大学附属病院光学医療診療部)
 道田 知樹(帝京大学ちば総合医療センター内科(消化器))
 田辺  聡(北里大学医学部新世紀医療開発センター)
 松田 浩二(聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院消化器内科)

会期:

 2017年(平成29年)5月13日(土) 13時10分-16時

会場:

 第6会場 大阪国際会議場 10階 会議室1003

*本研究会への参加を目的にのみ来場された場合、メディカルスタッフの方に限り、本研究会の聴講は無料です。
但し、他セッションの聴講や展示会場へ入場する場合は、内視鏡学会総会の参加費が必要となりますのでご注意ください。
また、一旦、総会会場で参加費をお支払い頂いた場合はご返金致しかねますのでご了承ください。

プログラム:
13:10 開会の辞(代表世話人挨拶)
藤城 光弘(東京大学医学部附属病院 光学医療診療部)

13:15 第1部 上部内視鏡検査(30分)
司会:溝上 裕士先生

1.上部内視鏡検査における安全管理への取り組み
筑波大学附属病院 光学医療診療部 看護師1)、筑波大学附属病院 光学医療診療部 医師2)
○井坂 裕子1)、安田 優子1)、泉 智子1)、奈良坂敏明2)、溝上 雄二2)

2.消化管出血に対する緊急上部内視鏡検査におけるミダゾラム使用の安全性の検討
市立豊中病院消化器内科
○山本 政司、西田 勉、下田 彬允、島越 洋美、天野 孝弘、杉本 彩、高橋 啓、向井 香織、松原 徳周、林 史郎、中島佐知子、福井 浩司、稲田 正己

3.胃ESDにおける全身麻酔と局所麻酔の比較検討
杏林大学医学部第三内科1)、東京大学医学部消化器内科2)
○大野亜希子1)、楠原 光謹1)、田邊 秀聡1)、新井 健介1)、徳永 健吾1)、辻 陽介2)、久松 理一1)

4.上部消化管内視鏡検査の咽頭麻酔におけるリドカインスプレー単独とビスカス併用との咽頭観察能
金沢大学附属病院消化器内科
○林 智之

13:45 第2部 下部内視鏡検査(30分)
司会:道田 知樹先生

5.モビプレップ®の前処置における腸管洗浄度の検討
那覇市立病院消化器内科
○西澤 万貴、金城 譲、仲地 紀哉、豊見山良作

6.当院における下部消化管内視鏡検査・周術期管理の実際
東京大学医学部附属病院 光学医療診療部1)、東京大学 消化器内科2)、東京大学医学部附属病院 看護部3)
○齋藤 格1),2)、小田島慎也1)、二宮多恵子3)、成田 明子1),2)、吉田俊太郎1),2)、小林 智明3)、藤城 光弘1),2)、小池 和彦1)

14:15 アフタヌーンセミナー(20分)
共催 日本製薬株式会社

第3部 治療(30分)
司会:炭山 和毅(東京慈恵会医科大学内視鏡部)

7.胃ESDなどを含む治療内視鏡におけるタイムアウト導入の意義
筑波記念病院内視鏡センター 看護師1)、筑波記念病院内視鏡センター 医師2)
○海老原幸恵1)、神馬 美姫1)、飯島 洋子1)、山浦 正道2)、岩井健太郎2)、小林真理子2)、  越智 大介2)、大塚公一朗2)、添田 敦子2)、池澤 和人2)

8.胃腫瘍に対するESDの安全な鎮静法の検討
国立病院機構 嬉野医療センター 消化器内科1)、佐賀大学医学部 消化器内科2)
○山口 太輔1),2)、竹内 祐樹1)、池田 圭1)、松本 耕輔1)、蒲池紗央里1)、森崎 智仁1)、  有尾 啓介1)、綱田 誠司1)

9.非麻酔科医による内視鏡検査・治療の鎮静術前患者評価の取り組み
北里大学病院消化器内科1)、北里大学病院新世紀医療開発センター2)、北里大学病院看護部3)、北里大学病院麻酔科4)
○石戸 謙次1)、田邉 聡2)、川岸 加奈1)、魚嶋 晴紀1)、岩井 知久1)、今泉 弘1)、小泉和三郎1)、岸木あゆみ3)、三枝 克磨3)、前澤美奈子3)、黒岩 政之4)、松田 弘美4)、西澤 義之4)

10.患者日帰りESD内視鏡治療のエビデンスとコンセンサス標準化に向けて~消化器内視鏡技師からの賛否を含めた報告~
新宿内視鏡クリニック
○天谷 祥隆、谷口将太郎

15:05 第4部 胆膵その他(30分)
司会:松田 浩二(聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院消化器内科)

11.胆膵領域の内視鏡的インターベンションにおける患者説明および同意取得の標準化に向けた検討
東京大学医学部附属病院 光学医療診療部1)、東京大学 消化器内科2)、聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院 消化器内科3)、周東総合病院4)、国立国際医療研究センター病院 消化器内科5)、京都第二赤十字病院 消化器内科6)
○吉田俊太郎1),2)、藤城 光弘1),2)、松田 浩二3)、清 時秀4)、渡辺 一弘5)、横井 千寿5)、田中 聖人6)

12.JEDプロジェクトを利用した無床診療所での周術期管理の取り組み
今川内科医院
○今川 敦

13.鎮静剤使用患者に対する帰宅判断基準の作成とその効果
東京大学医学部附属病院 看護部1)、東京大学医学部附属病院 光学医療診療部2)、東京大学 消化器内科3)
○二宮多恵子1)、星野 惠理1)、田口てるみ1)、伊賀上由子1)、永井 秀代1)、入澤 裕子1)、 菅 美智子1)、吉田俊太郎2),3)、小林 智明1)、藤城 光弘2),3)

閉会の辞(代表世話人統括)
藤城 光弘(東京大学医学部附属病院 光学医療診療部)

 

【一般演題1】
上部内視鏡検査における安全管理への取り組み
筑波大学附属病院 光学医療診療部 看護師1)、筑波大学附属病院 光学医療診療部 医師2)
○井坂 裕子1)、安田 優子1)、泉 智子1)、奈良坂敏明2)、溝上 雄二2)

【はじめに】
 当院は大学病院であり、乳幼児から高齢者まで幅広い年齢層の患者が内視鏡室に来室する。中でも高齢者は、複数の合併症を持っていることが多く、内視鏡検査及び処置・治療におけるリスクも増加している。今回は、上部内視鏡検査を受ける患者が、安全に検査を受けられるよう当院での取り組みについて報告する。
【倫理的配慮】所属組織の承認を得た
【調査期間・方法】
タイムアウト導入後2014年11月~2017年2月
電子カルテより情報収集
① 急変したことを知らせる緊急コールの使用回数
② 抗血栓薬の内服割合
③ 抗血栓薬によるインシデントの報告件数
 検査の前日には、患者の全身状態(ADL・既往歴・内服薬・意識レベル・コミュニケーション能力など)を把握するために電子カルテより情報収集を行っている。当日は、検査開始時のタイムアウトを導入し、検査医と共に再度確認を行っている。抗血栓薬については、医師が依頼時に入力した内容と共に、問診時に再確認を行っている。また、他科で重症度の高い患者の場合、必要に応じて主科の医師にも同席を依頼し安全に検査が行えるように努めている。
【結果】
① 2014年度3例。2015年度3例。2016年1例
② 2014年11月と2017年2月を比較して内服割合に大きな変化はなし
③ 2014年度0件、2015年度1件、2016年度1件
【まとめ】
 複数の合併症や高齢化以外にも、内視鏡技術そのものの進歩に伴い手技自体の危険度も高い。そのような中緊急コールは減少しており、タイムアウトの実施、医師と合同の急変時のシミュレーションは重篤な状態に患者が陥る前に早期発見・対応できるために有効に働いているのではないかと考える。
今後も多職種と情報共有し安全に検査・治療が行えるようにしていきたい。

【一般演題2】
消化管出血に対する緊急上部内視鏡検査におけるミダゾラム使用の安全性の検討
市立豊中病院消化器内科
○山本 政司、西田 勉、下田 彬允、島越 洋美、天野 孝弘、杉本 彩、高橋 啓、向井 香織、  松原 徳周、林 史郎、中島佐知子、福井 浩司、稲田 正己

【背景】消化管出血に対する緊急上部内視鏡では、患者は不隠状態で、苦痛を伴うことも多く、処置時間も長時間となることから、鎮静薬の使用を考慮することも多い。しかし、循環動態が不安定な状態での鎮静薬使用の判断は、個々の施設、症例で判断されており、その安全性については、未だ十分検討されていないのが現状である。今回、当院における、消化管出血に対する緊急上部消化管内視鏡検査時の鎮静薬使用の現状を調査し、その安全性を後方視的に検討した。
【方法】2016年1月から12月、消化管出血に対する緊急上部内視鏡が施行された連続57例を対象とし、術中の血圧変動、有害事象を調査した。なお、検査は平日日中・夜間休日を問わず、原則として医師1~2名と看護師1名で施行している。
【結果】対象は、男性40例(70%)、年齢中央値75歳(44-99歳)、来院時収縮期血圧115mmHg(60-160mmHg)、脈拍93.5(50-158)、Hb9.8g/dl(4.1-16.3g/dl)、輸血36例(63%)。意識レベルは、93%がJCS I-0であったが、I-1、2、3がそれぞれ1例づつ、酩酊状態1例であった。抗血栓薬内服は16例(28%)、夜間休日対応は33例(58%)であった。51例(89%)にミダゾラム(MDZ)が使用され、使用量中央値は3mg(1-5.5mg)であった。検査処置時間中央値は10.5分(2-55分)、33例(58%)に止血術が施行された。体動を14例(25%)に認めたが、MDZの有無との関連は認めなかった。MDZ使用の有無での内視鏡室入室時収縮期血圧、処置中最低血圧はそれぞれ117mmHg(82-183mmHg)、118mmHg(94-135mmHg)および98mmHg(61-166mmHg)、100mmHg(82-118mmHg)とほぼ同等であったが、退出時血圧は115mmHg(68-166mmHg)、132mmHg(116-141mmHg)と有意差は認めないもののMDZ使用例で低値であった。MDZ使用群では20mmHg以上血圧低下を41%に認めたが、処置中に急変をきたした症例は認めなかった。また、輸血の有無による血圧低下に差は認めなかった。
【結語】消化管出血に対する緊急上部内視鏡において、MDZは比較的安全に使用でき、鎮静剤関連の重篤な合併症は認めなかったが、MDZ投与後に4割の症例で20mmHg以上(最大67mmHg)の血圧低下を認めた。MDZ使用下での緊急内視鏡検査では、厳重な血圧モニタリングが必要であると考えられた。

【一般演題3】
胃ESDにおける全身麻酔と局所麻酔の比較検討
杏林大学医学部第三内科1)、東京大学医学部消化器内科2)
○大野亜希子1)、楠原 光謹1)、田邊 秀聡1)、新井 健介1)、徳永 健吾1)、辻 陽介2)、  久松 理一1)

【背景】胃ESDが広く普及し治療成績が安定してきた一方で、病変の局在や患者背景によっては全身麻酔下での治療を考慮する症例も存在する。しかし全身麻酔下での治療の利点は未だ明らかではない。今回我々は、全身麻酔下では血圧が低めにコントロールされ術中出血が少なく、結果として術時間の短縮につながるのではないかという仮説をたて、全身麻酔下および静脈鎮静法下に施行した胃ESD症例で治療成績を比較検討した。
【方法】当院にて2013年4月から2016年5月までに施行した胃ESD116例のうち、全身麻酔下に施行し詳細が検討可能な症例は9例あった。これらと局在が同部位かつ切除長径の差が5mm以内でマッチさせた症例で静脈鎮静法下にESDを行った9例を選択し2群間で患者背景因子(性別、年齢、抗血栓薬内服、術前後血圧)、腫瘍因子(局在、肉眼形態、腫瘍長径)、治療成績(術時間、術中止血回数、平均止血時間、切除標本径、R0切除率、偶発症、入院期間)を比較検討した。
【結果】全身麻酔群/静脈鎮静法群で男性/女性6/3;5/4、平均年齢73.8/74.9歳、抗血栓薬内服例は2/3例、であり患者背景には差を認めなかった。腫瘍局在はU/M/L 1/2/6例、肉眼形態はいずれも隆起型/陥凹型5/4例、平均腫瘍長径は19.0/14.1mm、平均切除長径は36.0/37.2mmであり有意差を認めなかった。術中平均収縮期血圧は95.0/126.8mmHgと全身麻酔群で有意に低かった(P=0.024)が、術中に止血鉗子を要する出血の頻度はいずれも2.67回で、平均止血時間は194.7/200.0秒と差は見られなかった。術時間は83.9/133.3分と有意差は見られないが全身麻酔群で短い傾向があった。一括完全切除率はいずれも100%、また入院期間および後出血に差は見られなかった。
【結語】全身麻酔下ESDでは術中血圧が低下していたが今回の検討ではそれは術中出血には寄与していなかった。今後の検討を要するが、全身麻酔下ESDの利点は、安定した麻酔により良好な視野を維持しやすい事から結果として術時間も短縮する事ではないかと考えられた。

【一般演題4】
上部消化管内視鏡検査の咽頭麻酔におけるリドカインスプレー単独とビスカス併用との咽頭観察能
金沢大学附属病院消化器内科
○林 智之

【目的】近年上部消化管内視鏡における咽頭観察の重要性が多く報告されている。咽頭癌の見落としを減らすためには少ない咽頭反射のもと観察することが重要である。消化器内視鏡ガイドラインでは前処置としてリドカインビスカス法を行い,必要に応じてスプレー法の併用を推奨しているが,ビスカス法と比べスプレー法が簡便性、麻酔効果の点で優れた麻酔法とする報告が散見される。スプレー単独群(A群)とビスカス+スプレー併用群(B群)の2群で、二重盲検法によるA群のB群に対する咽頭観察能の非劣性試験を計画した。【方法】観察者に伝わらないようにA群とB群でランダムに振り分け、A群はビスカスの代わりに偽薬を使用した。観察能の評価のため、中咽頭6カ所(口蓋垂、左右口蓋弓、中咽頭左右後壁)、下咽頭4カ所(喉頭蓋舌面、声帯、左右梨状窩)の合計10カ所の撮影を規定し評価した。主要評価項目は咽頭観察可能部位数とし、目標症例数は320例とした。副次的評価項目は、検査における苦痛(0~10の11段階Visual analog scale)、観察時間、咽頭反射回数、有害事象、鎮静の有無でのサブグループ解析とした。【成績】平均咽頭観察可能部位数はA群8.33、B群8.77で、A群のB群に対する非劣性が証明された(95%信頼区間-0.83~-0.04、p=0.01)。苦痛(2.27:2.33、p=0.85)、観察時間(72.0秒:67.0秒、p=0.15)、咽頭反射回数(2.12:1.68、p=0.10)、有害事象発生率(2.5%:7.1%、p=0.06)は有意差を認めなかった。鎮静の有無でのサブグループ解析では、鎮静無しの場合での咽頭反射回数がA群で多かった(2.35:1.27、p=0.03)が、その他は有意差を認めなかった。【結論】咽頭観察においてスプレー単独群の非劣性が示され、ビスカスは不要である可能性が示された。

【一般演題5】
モビプレップ®の前処置における腸管洗浄度の検討
那覇市立病院消化器内科
○西澤 万貴、金城 譲、仲地 紀哉、豊見山良作

【背景】大腸内視鏡検査(CS)において,良好な前処置はポリープ発見率の向上や検査時間の短縮,検査完遂に重要な要素である。新たな前処置薬として登場したモビプレップ®(MOV)は飲み易さや洗浄度の評価は高いようだが、一方で観察時に泡や液体が多いとの意見もある。
【目的】MOV前処置症例において、観察に影響を及ぼす項目を検討した。
【方法】当院でCSを施行した200例について、年齢、性別、腹部手術歴、便秘の有無、MOV内服量、排便回数、前処置に要した時間、前処置完了からCS開始までの時間、前処置スコアを検討した。スコアは腸管を上行、横行、下行結腸の3部位に分け、更に腸管洗浄度を残渣、泡、液体の3項目で評価した。良好3点、不良1点、その中間を2点とし、洗浄度スコア、腸管スコアとそれらの合計の総合スコアで評価した。腸管スコアは6点以上(満点9点)、総合スコアは18点以上(満点27点)を前処置良好と定義した。
【結果】男性114例、女性86例、平均年齢62.6歳、腹部手術歴あり70例、便秘あり52例であった。平均MOV内服量は1433ml、平均排便回数は8.5回、前処置完了までの時間は平均173分、前処置完了から検査開始までの時間は平均192分であった。総合スコアは21点と良好で独立因子はみられなかった。腸管スコアは上行結腸6.5点、横行結腸7.1点、下行結腸7.3点であった。洗浄度スコアは液体6.2点で、残渣7.4点、泡7.4点と比較し有意に低かった(p<0.05)。更に、前処置完了から検査開始までの時間が100分未満の場合、液体スコアが5点台と不良であったが、100分以上で6点以上と有意に改善した(p<0.05)。
【結論】MOVにおける前処置は年齢、性別、腹部手術歴、便秘の有無に関係なく良好であった。液体貯留が比較的多いが時間を置くことでその影響を軽減できる可能性が示唆された。各種前処置薬での検討が必要ではあるが検査時間や観察精度を高める観点から前処置完了から検査開始までの時間も考慮に入れることが望ましいと考える。

【一般演題6】
当院における下部消化管内視鏡検査・周術期管理の実際
東京大学医学部附属病院 光学医療診療部1)、東京大学 消化器内科2)、東京大学医学部附属病院 看護部3)
○齋藤 格1),2)、小田島慎也1)、二宮多恵子3)、成田 明子1),2)、吉田俊太郎1),2)、小林 智明3)、藤城 光弘1),2)、小池 和彦1)

当院における下部消化管内視鏡検査は、外来医・入院担当医による検査オーダーと、検査に関する説明、同意取得に始まる。同意文書は同時に取得した問診情報、内視鏡依頼状と一緒に紙媒体で検査室へ送られ、検査当日の前処置時や検査時に看護師、医師が確認できる体制にしている。問診情報はJED projectにおける必須入力項目を満たしており、検査時に使用する薬剤もしくは検査自体のリスクに関する項目(薬剤アレルギー、抗血小板剤や抗凝固剤の使用・休薬状況、併存疾患と禁忌薬剤、手術歴)、検査の効率性・安全性を高めるための項目(大腸内視鏡歴、癌家族歴、既往歴)など多岐に及んでいる。これらは医師による正確な取得が望ましい情報である一方で、取得にかかる労力は小さくなく、特に外来時の時間に制限がある場合は取得が容易ではないという意見もあり、今後の改善を検討すべき点と考える。下部消化管内視鏡のための腸管洗浄液は、患者にあわせて自宅内服か院内内服のいずれかを選択している。一方で腸管洗浄による前処置の偶発症は大きな問題となり得るため、腸管洗浄の状況を把握する必要がある。当院では偶発症が生じる可能性がある患者、もしくは腸管洗浄が不十分な患者を下部消化管内視鏡検査担当リーダーの看護師が拾い上げ、医師に連絡をする体制にしている。ただし、そのような場合には検査当日の当番医師が対応する体制としているため、対応方法に一定の基準がなく、医師間で対応に差が生じる可能性が考えられる。当院は内視鏡を実施する医師が複数の科にわたり、また内視鏡業務につく看護師も長期固定されていないという大学病院特有の体制で業務を行っているが、安全で効率的な内視鏡業務を行うためには内視鏡検査・周術期管理の標準化の必要性が高いと考えられ、さらなる検討を要する。当日は当院の下部消化管内視鏡検査・周術期管理の実際を供覧する。

【一般演題7】
胃ESDなどを含む治療内視鏡におけるタイムアウト導入の意義
筑波記念病院内視鏡センター 看護師1)、筑波記念病院内視鏡センター 医師2)
○海老原幸恵1)、神馬 美姫1)、飯島 洋子1)、山浦 正道2)、岩井健太郎2)、小林真理子2)、  越智 大介2)、大塚公一朗2)、添田 敦子2)、池澤 和人2)

【背景】世界中の手術死亡数減少を目的とした「安全な手術のためのガイドライン2009」がWHOによって制定され、その中にはタイムアウトの重要性が示されている。しかしながら内視鏡分野では、依然としてタイムアウトの普及は進んでいない。当院では日本機能評価機構(3rdG:Ver.1.1)の受審を契機に、胃ESDを含めた内視鏡治療症例においてタイムアウトを実施しており、その実績を報告する。
【対象と方法】2016年7月、当院内視鏡センターにて内視鏡的治療を受ける症例へのタイムアウト導入を開始した。当院独自のチェック項目として、1.患者氏名、2.年齢・性別、3.リストバンドでの本人確認、4.疾患名と施行予定の処置名、5.カルテの確認、6.同意書の確認、7.感染症の有無、8.抗血栓症薬の有無、の8項目を設定した。
【結果】タイムアウト導入前後における2016年の治療内視鏡の施行数(前:後)は、ESD/31例:34例(食道/2例:2例、胃/21例:24例、大腸/8例:8例)、食道EVLおよびEIS/3例:8例、消化管止血術/17例:15例、ERCP/127例/113例であった。とくに胃ESDでは、電子カルテ内の看護記録にタイムアウト施行の有無だけでなく上記8項目の内容も個別に記載し、内視鏡治療に携わる多職種間で情報を共有できるように工夫した。また、タイムアウトの施行は医師やコメディカルのモチベーションの向上ばかりでなく、内視鏡センターを見学する医学生および看護学生など実習生に対しても、治療内容や患者情報を伝達するツールとして、有意義であったと考えられた。
【結語】胃ESDをはじめとする治療内視鏡の安全管理において、タイムアウトの施行は極めて有効であった。

【一般演題8】
胃腫瘍に対するESDの安全な鎮静法の検討
国立病院機構 嬉野医療センター 消化器内科1)、佐賀大学医学部 消化器内科2)
○山口 太輔1),2)、竹内 祐樹1)、池田 圭1)、松本 耕輔1)、蒲池紗央里1)、森崎 智仁1)、  有尾 啓介1)、綱田 誠司1)

【目的】内視鏡治療周術期管理の標準化に向けて、胃腫瘍に対する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)に対する安全な鎮静法を検証した。
【方法】対象は2011年1月から2016年12月までに当院にて胃腫瘍に対して内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を施行した患者295例。患者背景、治療成績、鎮静法、術中術後合併症について後ろ向きに検討した。
【成績】ESD施行患者の平均年齢は73.3歳、男性は215例(72.9%)であり、胃腫瘍の平均サイズは18.2mmで、胃体部病変(45.8%)、陥凹性(0-IIc)病変(47.5%)、tub1病変(58.3%)が多かった。ESD治療はそれぞれ術者の判断で、196例は内視鏡室にて術者、麻酔担当医2名以上の医師でESDを行い、主に鎮静剤はdiazepam (114例:平均16.1mg)を使用した。また99例は手術室にて麻酔科医管理下に術者、介助者2名以上の医師でESDを行い、全例にpropofol(636.7mg)を使用した。ESD施行時間、麻酔時間はそれぞれ内視鏡室にて平均105.4分、138.3分、手術室にて107.0分、149.3分と同等で、偶発症は再出血率3.7%、穿孔率2.0%、死亡率0%であった。内視鏡室でのESDにおいて、術中SpO2低下例は12.8%に認められ、手術室(4.0%)よりも多く認めた(p=0.021)。術後回復時間は平均227.3分であり、内視鏡室116.6分よりも延長していた(p<0.001)。術後に誤嚥性肺炎をそれぞれ2例ずつ認めた。また手術室でのESDは内視鏡室でのESDよりも手術費用を多く要した(272,180円vs193,660円)。
【結論】内視鏡室における胃腫瘍に対するESDは手術室でのESDよりも費用対効果には優れているが、術中のSpO2低下や術後の過鎮静を起こしやすく、現状においてさらなる安全な鎮静が求められる。

【一般演題9】
非麻酔科医による内視鏡検査・治療の鎮静術前患者評価の取り組み
Clinical check list of sedation before endoscopic examination and treatment by gastroenterologist (non-anesthesiologist)
北里大学病院消化器内科1)、北里大学病院新世紀医療開発センター2)、北里大学病院看護部3)、北里大学病院麻酔科4)
○石戸 謙次1)、田邉 聡2)、川岸 加奈1)、魚嶋 晴紀1)、岩井 知久1)、今泉 弘1)、小泉和三郎1)、岸木あゆみ3)、三枝 克磨3)、前澤美奈子3)、黒岩 政之4)、松田 弘美4)、西澤 義之4)

【背景】早期消化器癌に対する内視鏡検査や治療に対して、非麻酔科医が鎮静下で全身管理を行う場合を経験する。ハイリスクを抱える患者の評価、麻酔科医の立ち合いの必要性を検討するため、鎮静前に行う鎮静チェックリストを作成したので報告する。
【対象】2016年4月4日から5月13日まで、上部ESD、上部EUS、FNA、ERCPを施行した165例を対象。主項目としてBMI≧30、睡眠時無呼吸症候群(SAS)、過去の鎮静困難の有無、予想治療時間≧3時間、副項目として年齢≧85歳、COPDの有無、多量飲酒(日本酒≧3合/日)、睡眠薬≧2剤、ASA physical status≧class3をチェック項目とし、主項目≧1項目または副項目≧2項目で麻酔科医に依頼することとを推奨とした。
【結果】男性111例、女性54例、年齢中央値70歳(30から92歳)、上部ESD28例、上部EUS54例、FNA20例、ERCP63例。チェックリスト上の麻酔科依頼は25例あり、SASの治療歴2例で麻酔科医が立ち会った。残り23例は麻酔科に依頼されず、4例で介入あり(体動抑制2例、Nasal Airway挿入1例、その他1例)。チェックリスト上の麻酔科依頼なしは140例、9例で介入あり(体動抑制6例、酸素増量もSpO2<90%が継続2例、薬剤使用(エフェドリン塩酸塩や硫酸アトロピン)2例(重複あり))。しかしRRT/RSTを要請するような重篤な有害事象はなかった。他150例は鎮静下で安全に内視鏡検査治療が施行された。
【結語】鎮静前に鎮静困難や呼吸循環のハイリスク症例を拾い上げ、医療者間で情報を共有できるものとして鎮静チェックリストは有用であったと考えられた。

【一般演題10】
患者日帰りESD内視鏡治療のエビデンスとコンセンサス標準化に向けて
~消化器内視鏡技師からの賛否を含めた報告~
新宿内視鏡クリニック
○天谷 祥隆、谷口将太郎

【背景と目的】今後も早期胃癌に対する内視鏡治療が発展していくことは間違いないが,内視鏡治療適応拡大病変に対するESDはいまだ解決しなければならない数多くの問題点を抱えている.しかし,適応拡大は内視鏡治療の発展につながる点もある.ESDの有効性と安全性が認められているが,日帰りESD領域のレベルの高いエビデンスは少なく,専門家のコンセンサスがない.当施設の技師からの思案を含め報告する.
【技師の適応】①医師からオーダーを受けた時点②患者から十分なIC(リスク-ベネフィットを含む)得た時点.
【方法】術前は消化器内視鏡技師の生検については必要最小限にとどめる.ESD後の出血への対応として,予防的New clip Hemostasis method(動画提示)による止血する.
【技師の周術期管理】内視鏡治療後の周術期管理は遅発性穿孔・後出血に留意し,必要に応じて翌日フォローアップする。緊急対応としてオンコール体制でクリニックに電話対応し来院して頂く.
【結果】日帰り胃ESD3例中偶発症なし.胃ESDの患者日帰りは、応用が広がっている現在において賛成の意見あり.
【まとめ】消化器内視鏡技師も自己防衛的な十分IC,ESD決定のための術前診断学,術前・術中および術後の短期・長期管理が大切でもある.また先駆けて施行している日帰りESDの偶発症の対処と予防などについて論議を技師の立場として賛否を報告する.また本例の経過.NEWデバイスを含め動画を加える.演題発表に関連し、開示すべきCO I 関係にある企業などはありません.

【一般演題11】
胆膵領域の内視鏡的インターベンションにおける患者説明および同意取得の標準化に向けた検討
東京大学医学部附属病院 光学医療診療部1)、東京大学 消化器内科2)、聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院 消化器内科3)、周東総合病院4)、国立国際医療研究センター病院 消化器内科5)、京都第二赤十字病院 消化器内科6)
○吉田俊太郎1),2)、藤城 光弘1),2)、松田 浩二3)、清 時秀4)、渡辺 一弘5)、横井 千寿5)、田中 聖人6)

内視鏡検査および周術期管理の標準化を目指し、2016年より日本消化器内視鏡学会の附置研究会として「内視鏡検査・周術期管理の標準化に向けた附置研究会」が立ち上がり、多様化する内視鏡診療および患者ニーズにおける標準化に向けた取り組みが行われている。
昨今、内視鏡的逆行性胆管膵管造影(以降ERCP)や超音波内視鏡(以降EUS)を用いた処置を中心とした胆膵領域の内視鏡的インターベンション技術の進歩は目覚ましく、同一の疾患に対して、様々な治療戦略が存在する現状がある。治療戦略に関わる因子として、バイタルサインなど含めた患者背景および内視鏡技術や経験を含めた治療者側の因子は重要であるが、加えて設備など含めた施設の治療環境も重要な因子の一つである。今回我々は、胆膵疾患における治療に際して、ERCPおよびEUSを用いたインターベンションや経皮的ドレナージ処置を含めた治療選択において、どのような患者説明および同意取得を行っているか、上記研究会に参加している施設の同意書作成状況およびアンケートによる質問を集計することにより明らかとする。またこの結果に基づいた参加施設との議論を踏まえ、同領域における患者説明および同意取得の標準化についても検討したい。

【一般演題12】
JEDプロジェクトを利用した無床診療所での周術期管理の取り組み
今川内科医院
○今川 敦

【目的】無床診療所での上部消化管内視鏡検査(EGD)における周術期管理の取り組みを紹介する。
【方法】当院では2015年12月から内視鏡システムを新規導入したため,JEDプロジェクトの内容を参考にシステム構築を行った。内視鏡所見のみならず、問診票の質問項目や術後管理に関してもJEDプロジェクトに準じた内容を記録するようにしている。2015年12月から2016年10月までに施行した経口EGD313例を対象とした。前処置(抗血栓薬の内服状況・鎮痙剤・鎮静剤の投与)、術中・術後偶発症、必要スタッフ数の検討を行い、さらに現時点での当院における対策を検討した。
【結果】平均年齢64.2歳、抗血栓薬の内服は42例(13.4%)に認め、鎮痙剤は308例(98.4%)に、鎮静剤は164例(52.4%)に使用していた。術中偶発症は36例(鎮静有33例、鎮静なし3例)、術後偶発症は3例(鎮静有3例、鎮静なし0例)に認めた。検査中の平均スタッフ数は2.5人であった。今回の検討では特に、鎮静症例において術中・術後偶発症の頻度が多く、そのリスク管理が重要であると思われた。このため鎮静剤の投与方法の変更、急変時の対応マニュアル作成、スタッフ教育などを積極的に取り入れた。
【結語】本システムを導入することにより全体データの習得や、リアルタイムでの状況把握が容易となり、より安全性の高い周術期管理が可能となった。

【一般演題13】
鎮静剤使用患者に対する帰宅判断基準の作成とその効果
東京大学医学部附属病院 看護部1)、東京大学医学部附属病院 光学医療診療部2)、東京大学 消化器内科3)
○二宮多恵子1)、星野 惠理1)、田口てるみ1)、伊賀上由子1)、永井 秀代1)、入澤 裕子1)、 菅 美智子1)、吉田俊太郎2),3)、小林 智明1)、藤城 光弘2),3)

【背景及び目的】近年、内視鏡検査における鎮静剤使用症例は増加傾向にある。鎮静剤を使用した症例は、内視鏡検査後にリカバリー室に移動して、一定の安静時間を過ごした後帰宅する。従来、帰宅時の判断は担当看護師の経験に基づいた判断に任せていたが、看護師経験には差があるため、覚醒評価の基準化が必要である。我々の施設では、内視鏡検査における高齢症例の増加や内視鏡鎮静におけるミダゾラムの導入を契機として、覚醒基準評価表を作成し導入した。今回、内視鏡検査における鎮静剤使用症例における本覚醒評価法の有用性につき報告する。
【対象】当院のミダゾラムを用いた鎮静下内視鏡検査症例
【期間】2016年12月1日~2017年2月15日
【方法】鎮静剤の作用副作用を正しく理解するために医師・看護師を対象に麻酔科医による勉強会を開催した。日本消化器内視鏡技師会看護委員会の『麻酔回復スコア』をもとに当院オリジナル覚醒基準評価表を作成しその効果を検証した。
結果:麻酔科医による鎮静剤に関する勉強会を開催したことで、知識の向上につながった。覚醒基準評価表の導入により、スタッフの判断に差がなく統一した評価が可能となった。
考察:覚醒基準評価表の導入をすることにより、看護師個々に委ねられていた帰宅時における判断の標準化が図れた。また、経過観察中の患者の状態変化をスコア化することによって、異常の早期発見にもつながる効果が得られた。
【結語】覚醒基準評価表の導入は、安全に配慮した体制をつくり、患者評価に有効であった。

問い合わせ先:
〒113-8655 東京都文京区本郷7-3-1
東京大学医学部附属病院 光学医療診療部
(担当者氏名)吉田俊太郎、二宮多恵子
TEL:03-3815-5411 内線34140
FAX:03-5800-9015
E-mail:yoshidash-int@h.u-tokyo.ac.jp

詳細

日付:
2017年5月13日
時間:
1:10 PM - 4:00 PM
イベントカテゴリー:

会場

大阪国際会議場・リーガロイヤルホテル

主催者

日本消化器内視鏡学会