一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 Japan Gastroenterological Endoscopy Society

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第1回 小児消化器内視鏡医育成のための研究会

2018年5月12日 1:30 PM - 4:00 PM

会期

2018年5月12日(土)13:30~16:00

会場

第10会場(グランドプリンスホテル新高輪 国際館パミール1階『暁光』

代表世話人

堀内 朗(昭和伊南総合病院消化器病センター)

当番世話人

堀内 朗(昭和伊南総合病院消化器病センター)
清水 俊明(順天堂大学医学部小児科・思春期科)

 

開会の辞(代表世話人挨拶)

昭和伊南総合病院消化器病センター  堀内 朗

司会:昭和伊南総合病院消化器病センター  堀内 朗
   順天堂大学医学部小児科・思春期科  清水 俊明

基調講演

「小児消化器内視鏡育成の目指す先」
信州大学医学部小児医学教室  中山 佳子 15分

第一部 一般演題(発表6分・質疑2分)

1.総合病院における小児内視鏡医の研修法と小児患者への内視鏡診療体制

沖縄県立中部病院小児科1)
埼玉県立小児医療センター消化器・肝臓科2)
沖縄県立中部病院消化器内科3) 
○吉年 俊文1)、岩間 達2)、篠浦 丞3)、中村 弘3)、座喜味盛哉3)、山田 航希3)、知念 健司3)、久保田富秋3)

2.当科における小児科医への消化器内視鏡研修

順天堂大学医学部小児科・思春期科
○工藤 孝広、伊藤 夏希、時田 万英、吉村 良子、丘 逸宏、新井 喜康、京戸 玲子、佐藤 真教、宮田 恵理、細井 賢二、松村 成一、大林 奈穂、幾瀨 圭、神保 圭佑、青柳 陽、藤井 徹、大塚 宜一、清水 俊明

3.小児外科医が日本消化器内視鏡学会専門医を目指す現状と課題

東京女子医科大学八千代医療センター 小児外科
○矢部 清晃、武之内史子、松岡 亜記、古来 貴寛、中田千香子、幸地 克憲

4.一般病院の小児科医が行える消化器内視鏡短期研修とその有効性

新潟厚生連 上越総合病院 小児科1)
鶴岡市立荘内病院 小児科2)
信州大学医学部 小児医学講座3)
昭和伊南総合病院・消化器病センター4)
○土谷 修一1)、古川 絵美2)、中山 佳子3)、堀内 朗4)

5.小児診療における消化器内視鏡検査の現状と施設による相違点

富山県立中央病院 小児外科1)、消化器内科2)
静岡県立こども病院 小児外科3)
○中島 秀明1)3)、松田耕一郎2)、関岡 明憲3)、山崎 徹1)、松田 充2)、岡田 安弘1)、酒井 明人2)、漆原 直人3)

6.北海道の地方病院で始めた小児科医による消化管内視鏡検査の現状と問題点

JA北海道厚生連 網走厚生病院 小児科 
○佐々木吉明、赤羽 裕一、梶野 浩樹

7.小児病院における小児の内視鏡検査の実態と小児科医の内視鏡研修の課題

国立成育医療研究センター 消化器科
○清水 泰岳、竹内 一朗、時田 万英、新井 勝大

8.小児消化器病医を志す小児科医の研修について(2年間の消化器内科研修を通じて)

まつもと医療センター1)
長岡赤十字病院2)
立川総合病院3)
○上田 宗胤1)、山田 聡志2)3)、田中 篤2)、金田 聡2)

第二部小児内科医・外科医の内視鏡研修上の問題点とその解決策について討論会(45分)

(第一部の演者8名登壇)

閉会の辞(代表世話人)

順天堂大学医学部小児科・思春期科  清水 俊明

 

0.「小児消化器内視鏡育成の目指す先」
信州大学医学部小児医学教室
中山 佳子

 現在、国内における小児の消化器内視鏡検査は、小児科医、小児外科医、消化器内科医などによって行なわれている。小児消化器病を専門とする小児科医は少なく、その中でも小児内視鏡検査の経験が豊富な小児内視鏡医の数はごく限れられている。欧米の小児病院においては、小児消化器病専門医の研修制度が確立し、年間1施設で2,000件近い小児内視鏡検査が施行されている。残念ながら、研修制度および集約化という点で、国内の現状は欧米に大きく立ち遅れている。
 幸い、わが国には、世界に誇る高い技術をもつ消化器内視鏡医、内視鏡機器のトップメーカー、設備の整った内視鏡室が全国に存在する。この恵まれた環境の中で、小児消化器内視鏡医を育成し、小児消化器疾患の治療成績を向上させなければならない。そして、その成果を世界に発信することも不可欠である。国内の足元を固めつつ、欧米と対等以上のレベルを目指すために、本研究会が果たすべき役割は大きいと考える。

 

1.総合病院における小児内視鏡医の研修法と小児患者への内視鏡診療体制
沖縄県立中部病院小児科1)埼玉県立小児医療センター消化器・肝臓科2)沖縄県立中部病院消化器内科3)
○吉年 俊文1)、岩間 達2)、篠浦 丞3)、中村 弘3)、座喜味 盛哉3)、山田 航希3)、知念 健司3)、久保田 富秋3)

【はじめに】小児消化器病診療において、消化管内視鏡検査を安全に、効果的に実践する能力は必須である。一方で、小児における消化管内視鏡検査では、鎮静の必要性や検査の適応など、成人患者への内視鏡検査とは対応が異なる点が存在する。しかし、本邦では小児に対しての内視鏡検査数が少ないため、初学者が検査を施行する閾値は高くなりがちである。欧米では2-3年のフェローシップ研修期間中に、小児患者に対して上部消化管内視鏡検査(以下EGD)は最低100件以上、下部消化管内視鏡検査(以下CS)は最低120件以上を施行することを求めているが、特にCSにおいてその件数では不十分という報告もある。そのため、症例件数が多くはない研修病院で、小児消化管内視鏡検査を習得するためには成人消化器内科との協力体制は必要不可欠である。
【概要】沖縄県立中部病院(以下当院)では、年間約6000件の消化管内視鏡検査を実施しており、その内約100件強が小児例である。小児消化器病医を志望する専修医は消化器内科での研修も可能であり、消化器病学会、肝臓学会、消化器内視鏡学会の専門医申請資格を得ることができる。内視鏡検査は当院が定めるシミュレーション訓練後に、EGDやCSだけでなく、緊急止血術、小腸内視鏡検査、内視鏡的静脈瘤結紮術、内視鏡的胃瘻造設術、ポリープ切除術などを消化器内科指導医の下で筆頭手技者として施行できる。一定の訓練終了後は、小児・成人どちらの患者に対しても筆頭術者として検査を施行でき、必要があればいつでも消化器内科医の協力が得られる環境である。当院では小児内視鏡医はERCPやEUSを筆頭術者として施行せず、EUSやERCPが必要な症例は消化器内科医に依頼する方針としている。
【まとめ】演者が6ヶ月間の消化器内科研修で経験した消化管内視鏡検査の報告と、その後1年間以上筆頭術者として施行した小児症例を報告する。

 

2.当科における小児科医への消化器内視鏡研修
順天堂大学医学部小児科・思春期科
○工藤 孝広、伊藤 夏希、時田 万英、吉村 良子、丘 逸宏、新井 喜康、京戸 玲子、佐藤 真教、宮田 恵理、細井 賢二、松村 成一、大林 奈穂、幾瀨 圭、神保 圭佑、青柳 陽、藤井 徹、大塚 宜一、清水 俊明

【はじめに】 小児の炎症性腸疾患、好酸球性消化管疾患などの診断に際して、消化管内視鏡検査の必要性が高くなっている。また、診断能の向上や内視鏡スコープの細径化により小児でも消化器内視鏡が実施可能な施設は増加している。当科では2002年から小児科医が小児消化器内視鏡を施行しており、当科における消化器内視鏡研修について検討した。
【方法】 小児科医が小児消化器内視鏡を行うにあたって実施した内視鏡研修について集計した。当科で研修を受けた小児科医は計14名であった。消化器内視鏡研修は、①成人消化器内科での研修、②小児病院での研修、③当科内の研修、の3つに分類し検討した。
【結果】 小児科医14名の内視鏡研修期間の総計は平均37.6ヶ月間であった。内視鏡研修を開始した医師歴は平均4.1年であった。①成人の研修歴があるのは12名、平均研修期間は8.6ヶ月間、②小児病院での研修歴があるのは10名、9.4ヶ月間、③当科内のみの研修は2名、7ヶ月間であった。うち、①成人で研修を開始したのは5名、平均研修期間は18.6ヶ月間、②小児病院で開始したのは4名、13.0ヶ月間、③当科内で研修開始したのは5名、12.8ヶ月間であった。2002年には年間18件であった当科の内視鏡件数は、2017年には年間200件超と増加している。15年間の総計1382件の偶発症は、穿孔1件(0.07%)、出血2件(0.14%)であった。
【考察】 小児科医が消化器内視鏡を研修する上では、スコープ操作の習得、小児の体格に合わせたスコープ選択と操作、小児に特有な疾患の診断能、検査の適応、安全性、鎮静/麻酔など多くの要素を学ぶ必要がある。偶発症発生率からも当科における内視鏡研修は妥当であると考えられた。

 

3.小児外科医が日本消化器内視鏡学会専門医を目指す現状と課題
東京女子医科大学八千代医療センター 小児外科
○矢部 清晃、武之内 史子、松岡 亜記、古来 貴寛、中田 千香子、幸地 克憲

小児医療において必要性が増す消化器内視鏡診療に小児外科医が携わることが多い。しかし日本消化器内視鏡学会が認定する日本消化器内視鏡学会専門医(以下内視鏡専門医)を取得する小児外科医は少なく、小児外科医が直面する現状と課題について報告する。演者は、現在医師7年目で、当院で2年間の初期研修後、小児外科で3年間の後期研修を行った。その後、関西圏のこども病院で、1年6か月間小児外科医として勤務した後、成人の内視鏡指導施設で6か月間の内視鏡研修を受けている。消化器内視鏡は、初期研修2年目に内視鏡科で指導を受け、上部消化管内視鏡検査(以下EGD)を約50件担当した。下部消化管内視鏡検査(以下CS)は未施行であった。後期研修では、小児の内視鏡は小児外科で施行する為、EGD・CS共に数件担当した。同時期に成人の健診施設で、2年間で約1000件のEGDを担当した。こども病院では、所属した1年6か月間の消化器内視鏡検査総数は約100件で、その内EGD15件、CS3件を担当した。小児外科の内視鏡対象疾患では、EGDは、通常観察に加え、食道閉鎖症術後の吻合部狭窄に対する内視鏡的消化管拡張術や食道静脈瘤に対する内視鏡的静脈瘤治療、異物誤飲に対する内視鏡的異物除去術、消化性潰瘍に対する内視鏡的止血術等、治療内視鏡が主であった。CSは、炎症性腸疾患の診断や大腸ポリープに対する内視鏡的ポリープ切除術が多かった。小児外科では治療内視鏡の施行が多く、質の高い内視鏡診療の必要性を感じ、演者は昨年日本消化器内視鏡学会に入会し、内視鏡専門医取得を目指している。しかし課題もあり、①こども病院は内視鏡指導施設ではないこと、②小児の内視鏡検査数は限られることから、成人の内視鏡指導施設で6か月間の研修を開始した。現在3か月間の研修で、EGD475件、CS137件、治療内視鏡27件(内視鏡的ポリープ切除術24件、内視鏡的止血術3件)を担当し、内視鏡専門医を目指して研鑽を積んでいる。

 

4.一般病院の小児科医が行える消化器内視鏡短期研修とその有効性
新潟厚生連 上越総合病院 小児科1)鶴岡市立荘内病院 小児科2)信州大学医学部 小児医学講座3)昭和伊南総合病院・消化器病センター4)
○土谷 修一1)、古川 絵美2)、中山 佳子3)、堀内 朗4)

背景:言うまでも無く、消化器内視鏡検査は消化器疾患を適切に診断し、治療するために必要な検査の一つである。内視鏡スコープの細径化が進み、鎮静・鎮痛薬を併用して検査を実施することで、小児にも安全に検査を実施できる環境が整いつつある。その一方で、小児科医向けの消化器内視鏡検査の研修体制は十分とは言えず、大学病院や特定機能病院などを除く一般病院では、消化器内視鏡検査が小児科一般診療に普及していない。
目的:当院では、消化器内視鏡短期研修プログラム(以下、駒ヶ根プログラムと略す)を終了した小児科医が平成23年度より消化器内視鏡検査を実施しているが、消化器内視鏡研修を希望する小児科医を対象に駒ヶ根プログラムを通じて消化器内視鏡研修をさせている。内視鏡診療を必要とする患児がその恩恵にあずかることができる診療体制を目指して、駒ヶ根プログラムの概要と当院の消化器内視鏡診療の現状を簡単に報告する。
研修方法:駒ヶ根プログラムは昭和伊南総合病院・消化器病センターで行い、消化器内科・消化器内視鏡専門医2名、小児科専門医1名の指導のもと2週間の消化管内視鏡研修を行った。期間中、プロポフォール鎮静下に成人の生検処置を含む上部消化管内視鏡検査(EGD)、大腸内視鏡検査(CS)、嚥下内視鏡検査などを経験した。
現状報告:平成23年度4月~平成29年12月までに延べ119例(男児:52例、女児:67例、平均年齢:11.3歳)にEGD114例、CS5例を実施した。EGDを実施した患児のうち77例に所見を認め、食道裂孔ヘルニア(4例)、逆流性食道炎(10例)、びらん性胃炎(18例)、慢性胃炎(27例)、胃十二指腸潰瘍(17例)、消化管異物(6例)、胃軸捻転(1例)、胃粘膜下腫瘤(2例)が認められ、CSを実施した2例は潰瘍性大腸炎(3例)、Crohn病(1例)、新生児乳児消化管アレルギー(1例)であった(重複あり)。
結論:短期間で基本手技が習得でき、研修後すぐに、内視鏡検査を自施設で一般診療に取り入れることができた。駒ヶ根プログラムは消化器内視鏡検査のintroduction研修として優れており、長期の研修期間を確保することが難しい一般病院の小児科医にとって、このような短期研修は負担も少なく、消化器内視鏡検査を習得する現実的な研修手段の一つとして推奨される。

 

5.小児診療における消化器内視鏡検査の現状と施設による相違点
富山県立中央病院 小児外科1)消化器内科2)、静岡県立こども病院 小児外科3)
○中島 秀明1)3)、松田 耕一郎2)、関岡 明憲3)、山崎 徹1)、松田 充2)岡田 安弘1)、酒井 明人2)、漆原 直人3)

【背景・目的】小児(15歳以下)の消化器内視鏡検査(以下、内視鏡)は施設によって状況が異なる。複数の施設を例に挙げ、長所と問題点を考察する。
【方法】消化器内視鏡学会(以下、学会)の指導施設である一般病院Aと、消化器科が設置されていない小児病院Bにおける、2008年から2017年の小児内視鏡症例を検討した。
【結果】内視鏡の総件数はAが100,175件、Bが875件で、小児例はAが246件、Bが775件であった。小児例の内訳は、Aが上部内視鏡(EGD)143、下部内視鏡(CS)86、バルーン小腸内視鏡7件、内視鏡的逆行性膵胆管造影(ERCP)7、超音波内視鏡3であった。治療を伴うEGD・CSは73件で、主な内容は拡張術45、異物摘出10、ポリープ切除6、止血術3などであった。Bの内訳はEGD542、CS226、ERCP7であった。治療を伴うEGD・CSは238件で、主な内容は拡張術144、異物摘出28、ポリープ切除34、止血術7、食道静脈瘤結紮術/硬化療法15、捻転解除4などであった。施行環境はAで78件が全身麻酔下であり、うち74件が手術室で、4件が病棟や血管造影室で行なわれた。Bでは全例が手術室で全身麻酔下に行なわれた。偶発症はAで2件発生し(鎮静中の呼吸停止1、新生児気腹症1)、Bでは認めなかった。
【考察】一般病院は全体件数が多く、内容も高難度の割合が高いため、十分な修練が可能である。学会指導施設ではない小児病院でも小児例の経験が可能であるが、高難度の手技では消化器内科医との連携が必要となる。従って技術習得と学会専門医取得、その後の連携のためには、近隣の指導施設での修練に一定期間を費やす必要があると考える。施行環境は内視鏡室の設備が適切だが、小児では全身麻酔が安全で苦痛軽減にも寄与するとの意見もあり、各施設において柔軟な行動と関係各科との連携が重要である。

 

6.北海道の地方病院で始めた小児科医による消化管内視鏡検査の現状と問題点
JA北海道厚生連 網走厚生病院 小児科
○佐々木 吉明、赤羽 裕一、梶野 浩樹

(背景)当科では小児の消化管内視鏡検査は、いわゆる消化器内科への外注検査で施行していたが、2012年10月より診断から治療までの継続した診療を目指し小児科医による消化管内視鏡検査を始めた。当科で始めた小児消化管内視鏡検査の現状と問題点を報告する。(対象と方法)2012年10月から2017年9月までの5年間に当科で施行した消化管内視鏡検査について患者背景や診断名、鎮静の有無等を診療録から後方視的に検討した。(結果)上部消化管内視鏡検査(EGD)51件と下部消化管内視鏡検査(CS)31件を施行した。被検年齢は、EGDでは4か月~42歳(中央値13歳)、CSでは5~17歳(中央値14歳)で、男女比はEGDでは27:24で、CSでは18:13であった。当科ではEGDは可能な限り経鼻から施行しており、40例は経鼻で施行可能であった。8例は内視鏡が鼻腔通過困難であったため経口に変更した。32例の経鼻症例のうち30例は鎮静を要しなかった。31件のCSのうち診断名では20件は炎症性腸疾患(IBD)であった。内視鏡検査に伴う有害事象は、静脈麻酔を使用した2件(EGD1件、CS1件)で過鎮静を認め入院延長を要した。(考察)当科においては比較的年長児が対象になったため、特にEGDにおいては経鼻内視鏡により鎮静なしで比較的安全に検査施行が可能であり、CSではIBD症例が多く継続した診療が可能になった。一方で地域の小児人口減少の影響もあり当科だけでは症例が少なく、また治療内視鏡の機会が未だなく術者の技能維持や育成については課題が残る。より多くの消化管内視鏡検査適応症例の集積のためには、当科の小児消化管疾患診断への取り組みを広域に発信することが必要である。今後も適切な内視鏡適応症例の検討と低侵襲で安全な検査を北海道の一地方病院小児科から取り組みたい。

 

7.小児病院における小児の内視鏡検査の実態と小児科医の内視鏡研修の課題
国立成育医療研究センター 消化器科
○清水 泰岳、竹内 一朗、時田 万英、新井 勝大

国立成育医療研究センター消化器科では、適応を有する患者に対しては、乳幼児を含め、小児であっても、積極的に内視鏡検査を行っている。2007年には200件程度(上部130件、下部70件)であった内視鏡件数は増加傾向で、2017年には389件(上部177件、下部212件)とほぼ倍増した。
当院では、IBDの診断および経過観察目的の内視鏡検査が大半を占める。IBDの好発年齢は青年期だが、乳幼児期~小児期に発症する患者の数も、近年増加傾向にある。小児期発症のIBDは非典型内視鏡像を取ることが少なくなく、特に、診断時年齢が6才未満の超早期発症IBD(VeryearlyonsetIBD)患者の中には、遺伝子検査や各種免疫学的検査にて確定診断に至る原発性免疫不全症が含まれており、成人とは鑑別疾患が大きく異なる。
小児では腫瘍性疾患は少ないが、胆道閉鎖症をはじめとする肝疾患に伴う食道静脈瘤、異物(ボタン電池、磁石等)、消化管出血、好酸球性胃腸炎、ポリープ・ポリポーシス等、内視鏡診断・治療を要する小児患者は全国に存在する。小児特有の鑑別診断や病態への理解に加え、体格相応のスコープの選択や鎮静薬の投与量、患者の年齢や理解力、不安に配慮した説明・同意の取得など、小児科医自らが内視鏡検査を行えることの意義は大きい。
内視鏡挿入法の習得において、そのラーニングカーブを上げるためには、連日内視鏡に触れ、複数の症例を経験することが近道であると考えられるが、同施設内に成人消化器内科のない小児病院ではその実現は難しい。当院では昭和伊南総合病院消化器病センターとの連携のもと、若手医師に年に1~2週間の内視鏡研修の機会を頂いている。小児科医が内視鏡挿入法を習熟する上で非常に重要かつ有用な研修となっており、今後、全国の小児科医が内視鏡を習得するためには、同様の研修の受入れが可能な施設が各地域に存在することが望まれる。

 

8.小児消化器病医を志す小児科医の研修について(2年間の消化器内科研修を通じて)
まつもと医療センター1)長岡赤十字病院2)立川総合病院3)
○上田 宗胤1)、山田 聡志2)3)、田中 篤2)、金田 聡2)

【背景】小児消化器病医を目指す小児科医が消化器疾患の知識ならびに内視鏡検査を筆頭とする手技を学ぶ機会は限られている。演者は、市中病院の消化器内科での研修を希望し、平成26年4月より平成28年3月まで消化器内科に、平成28年4月より同一施設の小児科に所属する形で研修する機会を得た。【概要】内科当直や消化器内科拘束医としての救急対応、再診外来、病棟主治医、内視鏡検査・処置など消化器内科常勤医と「ほぼ」同様の日程・内容で業務を担当した。また、小児科・小児外科と連携し小児消化器疾患が疑われる患児、消化管異物など緊急処置を要する患児の検査ならびに処置はほぼその全てを担当させていただいた。【まとめ】消化器内科に一定期間在籍しての研修は有用と考える。その理由として、(1)炎症性腸疾患等の成人期にも治療が継続される疾患の知識、(2)各種検査モダリティーの利点と欠点、(3)緊急止血術等の救急対応を含む内視鏡検査・処置、等を集中して学ぶことができることが挙げられる。その結果、小児科医として担当する患児に検査・治療を計画する際、消化器内科医と小児科医双方の観点から検討できる点は、患児・家族にとってメリットとなる。一方、消化器内科医としての研修期間中の小児診療は、時間的制約もあり救急外来当直時と小児の内視鏡検査・処置に際しての診察程度に限定され、小児科医としての研鑽が積みにくい点はデメリットである。小児科・消化器内科を含め関係する診療科や病院全体の理解と協力が不可欠となるが、今後同様な研修が可能な医療機関が増え、小児消化器領域を目指す小児科医の研修体制がより充実することを期待する。

詳細

日付:
2018年5月12日
時間:
1:30 PM - 4:00 PM
イベントカテゴリー:

会場

グランドプリンスホテル新高輪 国際館パミール
高輪3-13-1
港区, 東京都 108-0074 Japan
+ Google マップ
Phone
03-3442-1111
第107回日本消化器内視鏡学会総会

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