一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 Japan Gastroenterological Endoscopy Society

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第3回 小児消化器内視鏡医育成のための研究会

5月 24日 1:30 PM - 4:00 PM

代表世話人

堀内 朗(昭和伊南総合病院消化器病センター)

当番世話人

新井勝大(国立生育医療研究センター)

堀内 朗(昭和伊南総合病院消化器病センター)

会期

2020年5月24日(第99回日本消化器内視鏡学会総会会期中)

会場

国立京都国際会館

プログラム

基調講演(20分)

当院における小児科医による小児消化器内視鏡

順天堂大学小児科

○工藤孝広、細井賢二、幾瀨圭、神保圭佑、清水俊明

一般演題(発表6分+質疑3分)

  1. 当院での小児患者,特に低体重症例における消化器内視鏡の施行状況

  富山県立中央病院 小児外科1),内科2)

  ○中島 秀明1),松田 耕一郎2),馬場 徳朗1),山崎 徹1),松田 充2),岡田安弘1),酒井 明人2)

  1. 小児病院における小児消化管内視鏡の安全対策と工夫、そして課題

  大阪母子医療センター 消化器・内分泌科1) 麻酔科2)

  ○萩原真一郎1) 本間仁1) 橘 一也2) 惠谷ゆり1)

  1. 消化器症状を主訴とした特発性好酸球増多症候群の1例

  岩手医科大学小児科1)、同小児外科2)

  ○塩畑 健1),石川 健1),田金星都1),小野寺千夏1),古川ひろみ1),和田泰格1),小山耕太郎1),小林めぐみ2)

4. Gel immersion法が内視鏡的胃軸捻解除に有効であった3歳男児

  -小児におけるgel immersion endoscopyの経験-

  自治医科大学小児科学1)、同内科学消化器内科部門2)、同小児外科学3)

  ○横山孝二1)、矢野智則2)、野村達磨2)、熊谷秀規1)、小野 滋3)、山形崇倫1)

  1. 当院で対応が困難だった消化管出血の2例

  あいち小児保健医療総合センター 感染免疫科

  ○阿部 直紀

  1. 当院における消化管内視鏡的止血術の現状

  国立成育医療研究センター 消化器科・小児IBDセンター

  ○宇佐美雅章、竹内一朗、柏木項介、佐藤琢郎、清水泰岳、新井勝大

  1. 小児専門病院における小児消化器内視鏡医の育成

  千葉県こども病院救急総合診療科1),同小児外科2)

  ○酒井敦1),倉繁款子1),陶山友徳1),高居宏武1),光永哲也2)

  1. 小児外科医の消化器内視鏡専門医取得へのキャリアプラン

  静岡県立こども病院小児外科1),浦添総合病院2),那覇市立病院3),静岡県立総合病院4)

  ◯金井理紗1),山田進1),野村明芳1),関岡明憲1),仲谷健吾1),三宅啓1),福本弘二1),漆原直人1),仲村将泉2),金城譲3),仲地紀哉3),豊見山良作3),大野和也4)

  1. 小児病院における小児科医の消化器内視鏡研修

  埼玉県立小児医療センター 消化器・肝臓科

  ○吉田正司, 江花涼, 原朋子, 南部隆亮, 岩間達

  1. 当科における短期集中型研修(駒ヶ根プログラム)前後の内視鏡技術に関する検討

  順天堂大学 小児科1)、昭和伊南総合病院 消化器病センター2)

  〇新井喜康1)、工藤孝広1)、堀内朗2)、戸田方紀1)、永田万純1)、柏木項介1)、徳島香央里1)、伊藤夏希1)

   時田万英1)、吉村良子1)、丘逸宏1)、京戸玲子1)、佐藤真教1)、宮田恵理1)、細井賢二1)、幾瀨圭1)

   神保圭佑1)、梶山雅史2)、大塚宜一1)、清水俊明1)

パネルディスカッション(30分)

 

抄録

基調講演

当院における小児科医による小児消化器内視鏡

順天堂大学小児科

○工藤孝広、細井賢二、幾瀨圭、神保圭佑、清水俊明

順天堂大学小児科では小児科医による小児消化器内視鏡を2002年に導入した。内視鏡研修は、消化器内科において手技や疾患について、小児病院では鎮静や体格、疾患などの小児内視鏡の特徴について学んだ。小児科医が小児消化器内視鏡を実施するにあたり、場所は内視鏡室、手術室、病棟処置室、デイサージャリーセンター、心臓カテーテル室など様々であった。高度な処置、ERCP、腸管穿孔例については、消化器内科、小児外科に対応いただいた。当科では小児消化器を専門とする/したい医師が増えており、消化管グループ員は18名、そのうち消化器内科で内視鏡研修を受け、内視鏡を実施できる医師は9名になり、常時5-6名で内視鏡を実施できている。また、当科における小児内視鏡件数は年々増えてきており、小児科医による小児消化器内視鏡の必要性はさらに高まっていると考えられた。小児科医による小児消化器内視鏡を実施するにあたり、実施場所、共に実施するための小児科医、高度技術が必要な場合や偶発症の際の対応、など検討事項は多岐にわたることが考えられた。

 

1.当院での小児患者,特に低体重症例における消化器内視鏡の施行状況

  富山県立中央病院 小児外科1),内科2)

  ○中島 秀明1),松田 耕一郎2),馬場 徳朗1),山崎 徹1),松田 充2),岡田 安弘1),酒井 明人2)

目的:当院における小児消化器内視鏡の施行状況を症例提示も交えて報告し,安全性と有用性を検討する.方法:2007年5月~2019年5月に消化器内視鏡を行った15歳以下の小児患者を対象とし,年齢,体重,内容,偶発症などを後方視的に検討した.小児消化器内視鏡ガイドライン2017では体重10kg未満の患児(以下,低体重児)で細径内視鏡が推奨されていることから,特に低体重児で処置を要した症例も検討した.結果:小児消化器内視鏡の件数は,上部191,下部119,経人工肛門2,小腸バルーン7,十二指腸(内視鏡的逆行性膵胆管造影(以下ERCP)を含む)10,超音波3であった.低体重児では,上部52,下部10,経人工肛門,十二指腸,超音波が各1であった.上部の処置は82例で,内容は拡張術,異物摘出,チューブ挿入または抜去,術中観察,止血術,内視鏡的硬化療法(EIS),ドレナージ,食道閉塞解除であった.低体重児での処置は41例で,うち27例は細径内視鏡のみであったが,14例で通常径内視鏡を要した.下部の処置は11例で,内容はポリペクトミー,術中観察,マーキング法であった.低体重児での処置は通常径内視鏡によるマーキング法1例であった.十二指腸は,後述する低体重の1例に対してERCPが行われた.経人工肛門は観察のみで,超音波はいずれも嚢胞ドレナージであった.偶発症は上部の2例で,酸素化不良と新生児free airであった.症例:低体重児における食道閉塞と総胆管結石症の2症例を提示する.いずれも細径鉗子口を通過可能なデバイスにより処置し得た.考察:小児消化器内視鏡はおおむね安全であったが偶発症もあり,慎重に行う必要がある.低体重児に対する処置は,デバイスの選択により細径内視鏡で施行可能である.ただし細径デバイスが得られない場合は通常径内視鏡を要するため,今後さらなる細径デバイスの開発が待たれる.

 

2.小児病院における小児消化管内視鏡の安全対策と工夫、そして課題

  大阪母子医療センター 消化器・内分泌科1) 麻酔科2)

  ○萩原真一郎1) 本間仁1) 橘 一也2) 惠谷ゆり1)

大阪母子医療センター消化器・内分泌科では、小児期に発症した疾患を有する成人から乳幼児までの幅広い年齢層の患者に、消化管内視鏡検査・治療を行っている。内視鏡件数は年々増加傾向にあり、2015年度は146件(治療3件)であったが、2019年度には253件(治療:22件)に増加している。小児患者に内視鏡を行う際、麻酔・鎮静は必須であるが、以前は年長児では自科医師による鎮静麻酔で内視鏡を行うことが多かった。より安全な検査を提供するために見直しがされ、手術部の全面協力のもと、2018年8月より鎮静麻酔についても小児麻酔科医による管理下で内視鏡を行うことが可能となった。麻酔科医の参画により、術者は検査に集中することができるとともに、麻酔・鎮静のリスクがある症例(複雑心奇形や重症心身障害児など)だけでなく、基礎疾患のない小児患者に対しても、より安全な検査を提供できる医療体制を整えることができた。また発達障害や検査に不安を抱えている患児に関しては、手術室看護師やホスピタルプレイ士が検査前に関わりプレパレーションを行うことで、患児の内視鏡に対する不安の軽減に努めている。現在、内視鏡プレパレーションブックを作成し、患児の内視鏡に対する不安を軽減するための取り組みを更に進めているところである。課題としては、若手医師が修練するためには検査件数が十分ではなく、当科での研修だけでは内視鏡専門医の取得ができないこと、ERCPを施行できる小児消化器科医がいないことが挙げられる。当院での小児消化管内視鏡検査の安全性対策・工夫を紹介するとともに、課題についても論じたい。

 

3.消化器症状を主訴とした特発性好酸球増多症候群の1例

  岩手医科大学小児科1)、同小児外科2)

  ○塩畑 健1),石川 健1),田金星都1),小野寺千夏1),古川ひろみ1),和田泰格1),小山耕太郎1),小林めぐみ2)

はじめに:特発性好酸球増多症候群(idiopathic hypereosinophilic syndrome: HES)は,明らかな基礎疾患がなく,好酸球増多(≧1,500/µL),および,好酸球浸潤による2つ以上の臓器障害がある場合に診断される.当初,好酸球性消化管疾患(eosinophilic gastro-intestinal disorder: EGID)を疑い精査を進めたが,その後,排尿障害にも気がつかれ,HESの診断に至った症例を経験したので報告する.症例:3歳男児.アレルギー疾患歴はない.1日10回以上の排便と腹痛が2週間以上持続し前医に入院加療中,胆汁性嘔吐が出現し当科に紹介・転院となった.血液検査で好酸球(6,730/μL,57.0%)の著増と,超音波検査で結腸に散在する壁肥厚を認めた.上部消化管内視鏡検査では十二指腸壁の肥厚のほか,内視鏡的には正常粘膜と思われた食道の生検組織から有意な好酸球浸潤(30個/HPF)を認めた.入院経過中,遺尿と少量頻回の排尿を呈し,超音波検査で膀胱壁の著明な肥厚を認めた.HESを疑い,全身麻酔下に膀胱全層生検と骨髄検査に加え,下部消化管内視鏡検査を行った.膀胱では筋層への好酸球浸潤,骨髄では芽球増殖を伴わない好酸球増加,消化管では内視鏡的には正常粘膜と思われた回盲部に有意な好酸球浸潤(150個/HPF)を認めた.頭部MRI検査・胸部CT検査に加え,遺伝子・染色体検査で異常が無いことを確認しHESと診断した.ステロイド治療への反応性は良好であったが,ステロイド漸減により消化器症状と排尿障害が再燃し治療に難渋している。考察:HESの心血管・皮膚・神経・肺の臓器障害は良く知られているが,本症のように主に消化器症状を呈する場合もある.消化器症状からEGIDを疑う場合でも,HES鑑別のため,他の臓器障害の評価が必要である.

 

4.Gel immersion法が内視鏡的胃軸捻解除に有効であった3歳男児

  -小児におけるgel immersion endoscopyの経験-

  自治医科大学小児科学1)、同内科学消化器内科部門2)、同小児外科学3)

  ○横山孝二1)、矢野智則2)、野村達磨2)、熊谷秀規1)、小野 滋3)、山形崇倫1)

【背景】消化管出血の出血源同定や前処置不良例の内視鏡挿入時には、視野の確保が問題になる。水の注入では便や残渣、血液が水と容易に混合してしまい、視野確保が難しい。水の代わりに透明なgelを注入するGel immersion endoscopy(GIE)では、良好な視野を確保できる。成人領域では、経口補水液OS-1ゼリー(大塚製薬工場)を用いたGIEの有用性が報告されている。胃軸捻転に対し、GIEを用いて内視鏡的に捻転解除できた症例を報告する。

【症例】3歳の男児。急性発症の腹痛、嘔吐を主訴に近医を受診し、腹部X線と腹部造影CTから胃軸捻転(短軸捻転)が疑われ、当院を紹介受診した。経鼻胃管を挿入し、透視下に減圧を図ったが捻転は解除されず、内視鏡的捻転解除術を試みた。スコープはダブルバルーン内視鏡用のEI-580BTを選択し、先端フードのみ装着して挿入した。胃内容を可能なかぎり吸引したが、吸引不可能な食物残渣が貯留し視野確保が不可能だった。胃内のガスを吸引後にOS-1ゼリーを注入して視野確保し、胃大弯に沿ってスコープを進め、十二指腸下降部まで挿入できた。先端バルーンを拡張して十二指腸を内側から把持し、透視下に捻転を解除した。注入したOS-1ゼリーは可能なかぎり吸引した。

【考察】消化管の捻転を解除する際には、消化管を虚脱させ低圧に保つ必要がある。GIEは、ガスや水に比較して少量の注入で視野確保できるため、消化管内を低圧に保ちやすい。当施設では、下部消化管内視鏡の前処置不良時にGIEを用いた小児症例も経験している。小児においても安全に施行できると考えられるが、今後の症例の集積が必要である。OS-1ゼリーを多量に使用する場合は高Na血症に留意する必要があるが、電解質フリーのgelが発売される予定があり、早期の臨床導入が期待される。

 

5.当院で対応が困難だった消化管出血の2例

  あいち小児保健医療総合センター 感染免疫科

  ○阿部 直紀

症例1は複雑心奇形を有する単心室、内臓逆位、無脾症の16才男児。心不全の悪化あり上行大動脈、大動脈弁置換、三尖弁置換術を施行した。術後は集中治療室で抗凝固療法を行っていたが、経過中に大量吐血しショック状態となった。上部内視鏡検査で食道静脈瘤からの噴出性出血を認め止血困難のためSBチューブを挿入し大学病院に転院とした。転院後の血管造影の結果、肺動脈側副血行路が食道周囲にAVシャント、静脈瘤を形成し穿破したものと判断されTAEが施行された。症例2は1才男児。3日前から発熱、下痢が出現。前日からタール便ありショック状態で救急搬送された。ショックから離脱後、内視鏡が必要と判断されたが内視鏡医が休暇のため対応できなかった。転院後に施行された上部内視鏡で胃穹隆部にデュラフォイ潰瘍を認めクリップ止血がされた。当院では内視鏡治療の頻度が少なく、簡単な止血処置以外は現状対応が困難である。また内視鏡医が少なく休暇中の対応が困難であったり、内視鏡技師もいないため内視鏡介助者の育成にも課題がある。

 

6.当院における消化管内視鏡的止血術の現状

  国立成育医療研究センター 消化器科・小児IBDセンター

  ○宇佐美雅章、竹内一朗、柏木項介、佐藤琢郎、清水泰岳、新井勝大

【目的】小児消化器内視鏡医が常駐する小児総合病院における消化管内視鏡止血術の実態を調査する。

【方法・対象】当院で2009年から10年間で消化管内視鏡的止血術を行った23名を対象として、臨床情報を電子カルテを用いて後方視的に調査した。出血の原因精査として内視鏡を実施したが、止血術を施行しなかった症例、静脈瘤等の予防的内視鏡治療を施行した症例は除外した。

【結果】23例のうち、上部消化管出血が21例、下部消化管出血が2例であった。男児16例・女児7例、年齢の中央値は5.2歳(0.8~30.7歳)で、6歳未満の症例が23例中14例(61%)であった。15例は基礎疾患があり、肝疾患6例、血液・腫瘍3例、心疾患2例、消化管疾患2例、神経疾患1例、骨系統疾患1例と多岐にわたった。14例(61%)は、ICUや一般病棟、及び救急外来から内視鏡止血術を要請された症例であった。重症例が多く、Hbの最低値の中央値は6.7 g/dLであり、20例(87%)で輸血を要した。消化性潰瘍(胃潰瘍4例、十二指腸潰瘍9例)が最多の原因で、そのうち8例は露出血管を伴っていた。肝疾患に伴う食道静脈瘤や腫瘍性病変からの出血も含まれていた。止血方法は、クリッピング14例、無水エタノール局注4例、凝固法6例(アルゴンプラズマ3例、コアグラスパー3例)、高張ナトリウムエピネフリン液1例、SBチューブが1例で、複数種の止血術を用いた症例は6例だった。また、2回以上の止血術を要した症例は5例であった。

【結語】止血術を要する消化管出血をきたす小児患者は少ないが、基礎疾患は多岐に渡り、重症例も多く、6歳未満の症例が半数を占めていた。背景疾患の専門性や体格の未熟さに対応するためにも小児消化器内視鏡専門医の育成が重要と思われる。

 

7.小児専門病院における小児消化器内視鏡医の育成

  千葉県こども病院救急総合診療科1),同小児外科2)

  ○酒井敦1),倉繁款子1),陶山友徳1),高居宏武1),光永哲也2)

【はじめに】腹痛は頻度の多い訴えであり、炎症性腸疾患は年々患者数増加傾向にある。これまで当院では消化器内視鏡検査は小児外科医が行っていたが、適応症例の増加に対応し、診療科を超えた検査の円滑化を図るため、2017年より小児内科を含めたチームで対応すべく、小児消化器内視鏡医の育成を試みており、現状を報告する。【研修方法】チームのコアスタッフは、小児科専門医1名と小児外科指導医1名である。小児科専門医は、小児消化器内視鏡検査に積極的に取り組んでいる大学病院で、1年間の研修を受け、小児外科指導医は、成人医療機関で10年以上消化器内視鏡検査に従事した経験がある。院内の内視鏡検査は小児内科医が主に行い、小児外科指導医がバックアップしている。現在4名が近隣の成人医療機関の消化器内科で、週1回成人の上下部消化管内視鏡検査の研修を受けている。

【結果】成人医療機関での1回の症例数は、上部が4例程度、下部が2~4例程度で、年間でおよそ上部150例程度、下部100例程度の検査を経験した。院内の内視鏡検査件数は、2017年:45例49件(上部34件・下部38件)、2018年:52例70件(上部40件・下部47件)、2019年:56例82件(上部47件・下部45件)であった。特殊な症例以外は下部の盲腸到達率は100%で、検査に要する時間も減少している。特記すべき合併症はなかった。

【考察】小児消化器内視鏡医を育成するにあたって、小児患者のみでは症例数が少なく、成人例での研鑽が必要となる。しかし、当院のような小児病院では成人例がなく、近隣の成人医療機関の協力を得て行っているのが現状である。それでも症例数は十分でなく、今後は協力病院と連携をとりながら短期集中型で研修を受けられる体制を確立したい。小児消化器内視鏡医を育成し、千葉県で小児が安全に内視鏡を受けられる環境を整えていきたいと考えている。

 

8.小児外科医の消化器内視鏡専門医取得へのキャリアプラン

  静岡県立こども病院小児外科1),浦添総合病院2),那覇市立病院3),静岡県立総合病院4)

  ◯金井理紗1),山田進1),野村明芳1),関岡明憲1),仲谷健吾1),三宅啓1),福本弘二1),漆原直人1)

   仲村将泉2),金城譲3),仲地紀哉3),豊見山良作3),大野和也4)

【背景】当院では小児消化器内科医が不在であり,小児外科医が上下部の消化器内視鏡を行っている.

【方法】専門医取得を目指し,演者がたどったキャリアプランを報告する.なお演者は現行の専門医受験資格の検査件数は既に満たしているが,2016年に学会入会したため2021年に試験受験する予定である.

【結果】演者は卒後3年目より成人外科研修を開始し,成人消化器内科の協力のもと内視鏡研修を行った.上部から修練を開始し,2ヶ月後より下部の修練を開始した.約3ヶ月で上部101例,下部36例を経験した.卒後5年目より週1回上部の検査枠を担当し,手術のない日に下部を修練した.2年で上部290件,下部106件,バルーン拡張,クリッピング,点墨,経肛門イレウスチューブ等を経験した.成人での盲腸到達率は約80-90%で,処置は独力でCSP,指導を受けながらEMRが施行できるレベルに到達した.卒後8年目より小児病院へ異動し,約9ヶ月間に小児例(1ヶ月〜17歳)で上部19件,下部17件を担当した.小児での盲腸到達率は100%(TCSは不要の2例を除く)で,到達時間は約3〜10分であった.技術向上の為,12月より成人病院で週1回下部の研修を開始した.

【考察】小児病院は指導施設でないことが多く,JED-Projectが本格的に始まると更に専門医習得が困難になると予想され,早い時期からの計画的な成人研修が必須と考えられた.また小児例はIBDが多く,挿入技術のみならず所見にも精通することが重要と思われた.

 

9.小児病院における小児科医の消化器内視鏡研修

  埼玉県立小児医療センター 消化器・肝臓科

  ○吉田正司, 江花涼, 原朋子, 南部隆亮, 岩間達

【緒言】小児科診療においても消化器内視鏡検査は重要な診療手技の一つであるが, 小児科医師による消化器内視鏡検査の研修体制は確立していないのが現状である. 埼玉県立小児医療センター(以下, 当院)は2017年4月に消化器・肝臓科が新設され, 小児消化器疾患を専門としているが, 内視鏡検査を必要とする小児患者は成人と比較すると少なく, 内視鏡の技術を向上させるのに十分でない. そのため, 当院では自施設に加えて成人消化器内科での消化器内視鏡研修を行っている. 演者の消化器内視鏡研修について報告する.

【研修内容】当院は2017年4月〜2019年12月の期間に, 上部消化管内視鏡検査を年間平均225件/年・下部消化管内視鏡検査を年間平均185件/年を行っている. 筆者は2017年4月から当院での上部消化管内視鏡検査, 2018年4月から下部消化管内視鏡検査を開始した. また成人消化器内科では2017年11月から週1回半日の研修を開始し, 上部消化管内視鏡検査 4−6件/日または下部内視鏡検査 3-5件/日を行っている. 現在までに上部消化管内視鏡検査 544件(小児:302件, 成人:242件)・下部消化管内視鏡検査 352件(小児:214件, 成人:138件)を施行した. また治療内視鏡に関しては71件(小児:27件, 成人:44件)を行った.

【考察】当院は消化器科が独立した小児病院であり, 他施設と比較すると内視鏡検査を必要とする小児患者は多いものの, 小児例のみで内視鏡検査手技を習得することは難しい. 特に, 小児では診断目的の内視鏡検査が大部分を占めるため, 治療内視鏡の経験が不足する. 近年, 炎症性腸疾患や好酸球性消化管疾患などの患者数は増加しているが, 一方で内視鏡検査の代用として便中カルプロテクチンなどの低侵襲な検査の普及もあり, 今後の小児での内視鏡検査数の大幅な増加は望めない. 小児科医が治療を含めた内視鏡手技を習得するためには, 成人消化器内科の協力のもと成人症例での経験が必要不可欠である.

 

10.当科における短期集中型研修(駒ヶ根プログラム)前後の内視鏡技術に関する検討

  順天堂大学小児科1)、昭和伊南総合病院消化器病センター2)

  〇新井喜康1、工藤孝広1、堀内朗2、戸田方紀1、永田万純1、柏木項介1、徳島香央里1、伊藤夏希1、時田万英1

   吉村良子1、丘逸宏1、京戸玲子1、佐藤真教1、宮田恵理1、細井賢二1、幾瀨圭1、神保圭佑1、梶山雅史2

   大塚宜一1、清水俊明1

【目的】小児科医・小児外科医を対象とした短期集中型消化器内視鏡研修「駒ヶ根プログラム」は、現在小児消化器医の中で広く認知されるようになった。当科でも同研修を受けた医師は10名を超える。研修期間は2週間と3か月以上に大きく分けられるが、研修後はどの医師も内視鏡技術が向上しているように感じる。そこで、内視鏡研修前後での挿入時間を比較することで、内視鏡技術の向上度について検討した。

【方法】駒ヶ根プログラム研修を3か月以上行った当科小児科医を対象とした。研修前後に当院で実施した小児に対する上下部内視鏡検査の挿入時間に関して、上部は挿入時から最終撮影画像までの時間、下部は挿入時から盲腸到達までの時間を、研修直前と研修終了1か月後からの最大10件ずつについて後方視的に比較検討した。

【結果】当科で3か月以上研修した医師は5名(男性4名、女性1名)であった。研修時の卒後年数は9年目1名、7年目1名で、残りの3名は6年目であった。駒ヶ根プログラムでの平均研修件数は上部661.6±121.3件、下部159.6±34.9件であった。研修前後の平均検査件数と平均時間は、上部で研修前平均6(1~10)件668.2±239.2秒、研修終了後平均8.8(6~10)件438.5±135.6秒で研修終了後の方が有意に短かった(p<0.05)。下部では研修前平均0.6(0~2)件1033.7±303.9秒、研修終了後平均9.8(9~10)件930.7±468.6秒と有意差はなかった。また、研修終了後10件までの盲腸到達率は100%であった。

【結語】駒ヶ根プログラム研修終了後は、特に上部で有意に検査時間の短縮ができていた。下部では研修前の実施件数が少ないため正確な比較はできないが、研修終了後の盲腸到達率は高く、スコープ操作性などの内視鏡技術も習得できていることから、研修終了後は内視鏡技術が向上していると思われた。

詳細

日付:
5月 24日
時間:
1:30 PM - 4:00 PM
イベントカテゴリー:

会場

国立京都国際会館
京都府京都市 左京区宝ヶ池 〒606-0001 + Google マップ
電話番号:
075-705-1234
Web サイト:
http://www.icckyoto.or.jp/