一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 Japan Gastroenterological Endoscopy Society

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第2回 A型胃炎の診断基準確立に関する研究会

5月 24日 1:30 PM - 4:00 PM

代表世話人

鎌田 智有 (川崎医科大学 健康管理学)

当番世話人

古田隆久 (浜松医科大学 臨床研究管理センター)

春藤譲治 (春藤内科)

会期

2020年5月24日(第99回日本消化器内視鏡学会総会会期中)

会場

国立京都国際会館

プログラム

特別講演1

自己免疫性胃炎―マウスモデルが教えるもの―

関西電力病院 千葉 勉

特別講演2

A型胃炎の組織診断基準(一部改変)と初期像

PCLジャパン病理・細胞診センター・新潟大学 渡辺英伸

パネルディスカッション

「A型胃炎の診断基準作成に向けて~ガストリンおよびペプシノゲンの基準値設定を中心に~」

司会

古田隆久 (浜松医科大学 臨床研究管理センター)

春藤譲治 (春藤内科)

各演題発表6分 質疑応答2分 総合討論35分

 

1 病理基準適合かつ自己抗体陽性例からみた、AIGのGastrinおよびPG値の基準値の予備的検討

加古川中央市民病院 消化器内科

寺尾秀一、鈴木志保

 

2 自己免疫性胃炎の血液検査、内視鏡所見についての検討

岡崎市民病院 臨床検査科

榊原真肇

 

3 病理所見を加味して自己免疫性胃炎と診断した症例の共通点

1)滋賀医科大学地域医療教育研究拠点・JCHO滋賀病院消化器内科、2)草津総合病院内科、3)同 病理診断科

中島滋美1、森直子2、竹村しづき3、茶谷玲奈1、椿本由紀1、大原真理子1、藤井誠1、長谷川大1、早藤清行1

山本和雄1、藤山佳秀1

 

4 組織学的に自己免疫性胃炎と診断された症例の臨床検査学的特徴

1) 北海道大学病院 光学医療診療部、2) 北海道大学大学院医学研究院 消化器内科学教室

石川麻倫1、小野尚子2

 

5 組織所見、胃自己抗体でAIGと確診された症例での臨床検査値の検討

1)春藤内科胃腸科、2)とくしま未来健康づくり機構、3)徳島大学消化器内科

春藤譲治1)、青木利佳2)、岡久稔也3)

 

6 自己免疫性胃炎の診断に関する検討2

東京女子医科大学 消化器内視鏡科1) 消化器内科2) 

岸野真衣子1)、中村真一2)、徳重克年2)

 

7 A型胃炎の診断におけるガストリン、ペプシノーゲン値の検討

藤枝市立総合病院

丸山保彦、寺井智宏

 

8 自己免疫性胃炎の血清ペプシノゲン、血清ガストリン値に関する検討。

浜松医科大学附属病院臨床研究管理センター1)、浜松医科大学第一内科2)、

浜松医科大学医学部附属病院光学医療診療部3)、浜松医科大学医学部附属病院臨床検査医学4)

古田隆久1)、山出美穂子2)、鏡卓馬2)、鈴木崇弘2)、樋口友洋2)、谷伸也3)、濱屋寧2)岩泉守哉4)、大澤恵3)、

杉本健2)

抄録

特別講演1

自己免疫性胃炎―マウスモデルが教えるもの―

千葉 勉

関西電力病院

自己免疫性胃炎(AIG)モデルマウス(胸腺摘除マウス)はヒトのAIGと極めて類似している。「たかがマウス、されどマウス」である。本モデルマウスは1960年台に愛知がんセンターの西塚 泰章博士によって確立されたモデルで、Balb/cマウスの胸腺を生後3日目に摘除することによってAIGが発症する。制御性T細胞(Treg)の発見で昨年文化勲章を受章された坂口 

志文博士は、本マウスを用いてTregを発見した経緯があり、いわば「歴史的なマウス」である。

 本マウスでは、壁細胞のプロトンポンプに特異的な細胞障害性T細胞が形成され、それに伴って壁細胞の消失、胃体部胃炎、高ガストリン血症、抗壁細胞抗体などが見られると同時に、種々の内分泌障害が生じる。本マウスの研究から、胃粘膜障害の本体はプロトンポンプに特異的な細胞障害性T細胞であること、一方抗壁細胞抗体は病的意義をもたないことなどが明らかとなっている。また本疾患の発症には胸腺が重要な役割を果たしており、胸腺におけるプロトンポンプ特異的なTreg細胞が欠落すること、その結果プロトンポンプ特異的な細胞障害性T細胞が生じることが、その本体であることが分かっている。事実本マウスのT細胞を胸腺摘除していない別の正常マウスに移植すると、AIGが発症する。

 私達は本マウスの研究を通して、Helicobacter 感染(H.felis)が、AIGの発症を抑制することを見出した。実際ヒトの長期観察でも、除菌によってAIGが悪化する例を経験している。このことから、今後H.pylori感染が減少することによってAIGが増加する可能性が考えられる。H.pylori 感染がAIGを抑制する機序としては、AIGがTh1タイプの反応が中心であるのに対して、H.pylori 感染がTh1反応と同時にTh2反応をも惹起することによると推定される。

 

特別講演2

A型胃炎の組織診断基準(一部改変)と初期像

渡辺英伸

PCLジャパン、病理・細胞診センター・新潟大学名誉教授

前回提示しましたA型胃炎の組織診断基準試案(Gastroenterol Endosc 61(Suppl . 1);1028, 2019)を一部訂正しました。

#1:胃底腺の高度萎縮(重要)

   ・壁細胞:著減(少数残存する壁細胞は変性・萎縮性)・消失(最重要の所見)

   ・主細胞:著減・消失

     初期では頸粘液細胞化生ないし偽幽門腺化生 → 次いで、幽門腺化生

   ・頚粘液細胞:初期には主細胞の頸粘液細胞(偽幽門腺)化生を起こし、粘膜深部で増加→ 幽門腺化生が

    進行して、 これが腸上皮化生(小腸型)へ変化。

   ・化生幽門腺:増加( → 小腸型腸上皮化生。H. pylori現感染・既感染例で高度)

   ・粘膜高の低下(腺管の短縮)と胃小窩の延長。

     胃小窩長/腺管長 ≧1.0(頚粘液細胞過形成部では<1.0)

#2:Enterochromaffin-like (ECL) 細胞過形成:あり(頸粘液細胞化生部に好発)

   ・腺管内(intraglandular)過形成:あり

   ・腺管外(extraglandular)過形成:あり~なし

     注:Endocrine cell micronest (ECM) 内分泌細胞微小胞巣とは、内分泌細胞の索ないし小充実性集塊が

       腺管外にみられるもの。

       Extraglandular endocrine cell hyperplasiaと同義語。

#3:前庭部粘膜:

    ガストリン細胞の過形成(幽門腺粘膜):あり>なし

    腸上皮化生:(0)-(1+)>(2+)-(3+)(H. pylori現感染・既感染例で高度)

今回の発表では、典型的な組織像を示さないA型胃炎例、すなわち 一部に正常に近い壁細胞残存粘膜を有する例や頸粘液細胞過形成を伴う例など、A型胃炎の初期像例を組織でどのように診断するかを述べてみたい。

 

パネルディスカッション

 

1 病理基準適合かつ自己抗体陽性例からみた、AIGのGastrinおよびPG値の基準値の予備的検討

  寺尾秀一、鈴木志保

  加古川中央市民病院 消化器内科

当附置研診断基準案(以下、案):「病理無」の「確診」「疑診」の診断基準には、Gastrin(以下G)とPGが必須項目として提示されているが、まだその基準値は示されておらず早急に検討する必要がある。そのため以下の2つの方法で予備的検討を行った。

1)AIGコンセンサスグループの多施設共同研究AIG245例(Dig Endosc. 2019 Aug 1. doi: 10.1111/den.13500)中、

  病理診断基準b)かつPCA or IFAが陽性であった121例のG値とPG値の5percentile値,97.5percentile値を求めた。

  (2017年4月当時はまだ案のa)は提示されていなかった)

2)自施設単独検討:AIG100例のうち、案の病理診断基準a)とb)の双方を満たしかつPCA or IFA陽性であった92例

  と、Hp現感染でO2以上の高度萎縮(内視鏡的に明らかなHp既感染を除外)を呈しかつPCA or IFAが陰性であった

  (非AIG)76例のG値PG値を比較し両者を鑑別する至適cut off値を検討した。

(結果)

                                    検討1                                              検討2

                                    2.5 percentile       97.5 percentile     Cut off値

Gastrin (pg/ml)           700.2                   7801.8                 441.5

PG 1 (ng/mL)     2.0                       19.7                     37.2

PG 1/2                         0.3                       2.0                       2.05

(考察)

基準値を設定する目的を明確にしたうえで、a)b)に合致しかつ自己抗体陽性例を基準とした多施設での検討が必要であろう。

 

2 自己免疫性胃炎の血液検査、内視鏡所見についての検討

  榊原真肇

  岡崎市民病院 臨床検査科

【目的】自己免疫性胃炎の血液検査・内視鏡所見を明らかにする。

【方法】対象は自己免疫性胃炎(以下AIG)15例であり、うちHP未感染が8例(男性3例)、HP感染が7例(男性6例、除菌例は5例)で平均年齢はともに72歳であった。血液検査としてPGI、PGI/II、ガストリンを、内視鏡所見として萎縮の程度・拡がり・粘液付着とメチレンブルー散布による腸上皮化生の面積比・形態をHP未感染例とHP感染例に分けて比較した。

【結果】HP未感染例のPGIは平均6.8(4.9~8.4)、PGI/IIは0.63(0.3~1.3)、ガストリンは2993(737~6494)であった。一方、HP感染例のうち、除菌しなかった2例のPGIは105、PGI/IIは2.45、ガストリンは853であり、除菌を行った5例の除菌後のPGIは6.4(4.2~9.1)、PGI/IIは0.7(0.4~1.2)、ガストリンは1679(750~3232)であり、除菌しなかったHP感染例ではHP未感染例・除菌後例に比べてPGI、PGI/IIは高値、ガストリンは低値であった。内視鏡所見ではHP未感染例8例のうち萎縮の広がりがOPは7例、粘液付着は4例、前庭部の萎縮がないか軽度は7例であり、メチレンブルーによる腸上皮化生の面積比が1/4以下の症例は前庭部小弯・大弯・体部大弯ではそれぞれ7例、8例、7例、体部小弯の面積比が1/2以下の症例は5例であった。また、腸上皮化生の形態は前庭部小弯・大弯では円形、体部小弯では斑状、体部大弯ではまきびし状~点状を示す症例が多かった。

【結論】自己免疫性胃炎のHP未感染例・除菌後例のPGIは10以下、PGI/IIは1以下、ガストリンは750以上のことが多く、HP未感染例の腸上皮化生の面積比は前庭部小弯・大弯では1/4以下で円形、体部小弯では1/2以下で斑状、体部大弯では1/4以下でまきびし状~点状を示す症例が多かった。

 

3 病理所見を加味して自己免疫性胃炎と診断した症例の共通点

  中島滋美1、森 直子2、竹村しづき3、茶谷玲奈1、椿本由紀1、大原真理子1、藤井 誠1、長谷川 大1、早藤清行1

  山本和雄1、藤山佳秀1

  1)滋賀医科大学地域医療教育研究拠点・JCHO滋賀病院消化器内科、2)草津総合病院内科

  3)同 病理診断科

【目的】自己免疫性胃炎(AIG)における診断共通点を明らかにする。

【方法】2012年5月~2017年4月の5年間にJCHO滋賀病院において抗壁細胞(PC)抗体10倍以上を必須とし、内視鏡による胃粘膜萎縮度O-p、血清ガストリン高値(基準値172pg/mL以上)、ペプシノゲン法3+、ビタミンB12低値の4項目中1つ以上満たすものをAIG疑いと一次診断した。これらのうち病理学的評価が可能でAIGと確定診断した症例で検査項目の共通点を検討した。

【結果】期間内にAIG疑いと一次診断した症例は21例であった。うち病理学的評価によりAIGと確定診断できたのは15例であった。H. pylori感染歴は現感染0例、既感染9例、未感染相当6例であった。プロトンポンプ阻害剤使用者はなく、ビタミンB12(以下B12)製剤使用者が1例あった。この15例では、抗PC抗体価 10-160倍以上、血清ガストリン値690-5017pg/mL、PGI値2.5-71.9ng/mL、PGII値3.7-39.2ng/mL、PGI/II比0.3-3.5、PG法判定3+/2+/1+/- : 11/1/0/2例、B12値50未満-435pg/mL(B12使用者除く)、内視鏡的胃粘膜萎縮O-p/O-3 : 14/1例であった。

【結論】今回の症例では抗壁細胞抗体10倍以上、H. pylori陰性、血清ガストリン基準値(172pg/mL)以上、PGI/II比3.5以下、内視鏡的萎縮O-3以上の5項目がAIGの診断に共通していた。

 

4 組織学的に自己免疫性胃炎と診断された症例の臨床検査学的特徴

  石川麻倫1)、小野尚子2)

  1) 北海道大学病院 光学医療診療部、2) 北海道大学大学院医学研究院 消化器内科学教室

【背景と目的】自己免疫性胃炎は,胃の壁細胞が抗壁細胞抗体や抗内因子抗体による自己免疫反応により喪失し,体部優位の高度萎縮を呈する胃の慢性炎症性疾患であるが,その診断基準は明確ではない.そこで本研究では,自己免疫性胃炎の臨床検査学的特徴について検討した.

【対象と方法】北海道大学病院消化器内科で2018年1月1日から2019年8月31日までに上部消化管内視鏡検査を施行し,自己免疫性胃炎と診断した20例を対象とした.自己免疫性胃炎の診断基準は,第1回 A型胃炎の診断基準確立に関する研究会で作成された診断基準案とした.臨床所見・検査所見 (自己抗体値,ガストリン値,ペプシノゲン (PG)値)・内視鏡所見・病理学的所見 (前庭部大弯・胃体部大弯・前庭部小弯・胃角部小弯・胃体部小弯におけるUpdated Sydney Systemによる胃炎評価および「自己免疫性体部胃炎の組織診断基準 (渡辺英伸先生 試案)」による評価)を検討した.

【結果】年齢中央値は69.5歳 [24-83歳]で,男女比は4:16と女性が多かった.抗胃壁細胞抗体は19例で陽性,抗内因子抗体は8例で陽性であった.ガストリン値の中央値は1195 pg/mL [552-7255 pg/mL],PG Iの中央値は4.9 [2.6-12.2 ng/mL],PG I/II比の中央値は0.55 [0.3-1.8]で,H. pyloriは11例で未感染であった.特徴的な内視鏡所見として,胃体部の高度萎縮・粘液付着・偽ポリープを認めた.20症例全て組織学的に自己免疫性胃炎の特徴を有しており,胃体部大弯優位にEnterochromaffin-like (ECL)細胞の過形成と高度萎縮を認めた.

【結語】組織学的に体部の高度萎縮を呈する自己抗体陽性の自己免疫性胃炎において,ガストリンの平均値は,1521±724 pg/mL,PG Iの平均値は5.2±2.1 ng/mL,PG I/II比の平均値は0.6±0.2であった.自己免疫性胃炎の組織診断には粘膜筋板まで採取できる体部大彎の生検が有用であり,萎縮の評価が困難な症例であってもchromogranin Aの免疫染色によってECL細胞過形成の同定が可能となる.

 

5 組織所見、胃自己抗体でAIGと確診された症例での臨床検査値の検討

  春藤譲治1)、青木利佳2)、岡久稔也3)

  1)春藤内科胃腸科、2)とくしま未来健康づくり機構、3)徳島大学消化器内科

【目的】AIGはHp感染胃炎と同様に、胃癌発症の母地となる慢性萎縮性胃炎を来す疾患であるが、いまだに診断基準が明確に確定されていない。今回は、組織所見および胃自己抗体でAIGと確診された症例におけるガストリン値、ペプシノゲン値等を検討し、両者の最適な基準値について考察する。

【対象と方法】2013年10月1日~2019年12月31日の期間に1人の内視鏡医が連続して行った上部消化管検査6,208例(重複例を除く)のうち、組織所見および自己胃抗体 (抗壁細胞抗体か抗内因子抗体のどちらか陽性) を満たす43例を対象とした。生検部位は幽門前庭部大弯、胃体上部大弯、前壁の3か所とし、組織所見はa)壁細胞の消失・著減、主細胞の消失、頸粘液細胞(偽幽門腺)化生の所見がある、b) ECL 細胞の過形成がある(a、または、aかつbであること)とした。高ガストリン血症の基準を500 pg/ml以上、低ペプシノゲン血症 の基準をPGⅠ値15以下、PGⅠ/Ⅱ比1.5以下とした場合の妥当性について検討した。

【成績】平均年齢は67.9歳(40-80)、男女比は14対29で女性に多かった。抗壁細胞抗体陽性率95.3% (41/43)、抗内因子抗体陽性率44.1%(19/43)であった。血清ガストリンの中央値は2,429pg/ml(1,350-4,336)、最低値は125pg/mlであり、その1例以外は500 pg/ml以上(97.7%)であった。PGⅠ値の中央値は5.5ng/ml(3.1-9.3)で、88.0%の症例がPGⅠ値15以下であった。PGⅠ/Ⅱ比の中央値は0.8(0.5-1.2)で、90.5%の症例が、PGⅠ/Ⅱ比1.5以下であった。

【結論】組織による確定診断が難しい場合のAIG診断基準として、ガストリン値500 pg/ml以上、PGⅠ値15以下、PGⅠ/Ⅱ比1.5以下は、妥当である可能性が高い。

 

6 自己免疫性胃炎の診断に関する検討2

  岸野真衣子1) 中村真一2) 徳重克年2)

  東京女子医科大学 消化器内視鏡科1) 消化器内科2) 

<目的>自己免疫性胃炎(AIG)診断基準確立への寄与を目的とした。当科は①〜④全てを満たす例をAIGと定義し、現在組織所見は参考所見としている。①逆萎縮〜体部高度萎縮②自己抗体(PCA and/or IFA)陽性③ガストリン(Ga)値≧200pg/ml④ペプシノーゲンⅠ(PG1)値<30ng/ml

<対象・方法>2014年〜2019年10月に内視鏡で高度萎縮性胃炎を認め且つPCA、IFA、Ga、PGを測定した95例中、上記②自己抗体陽性を満たしたのは58例であった。そのうち上記①〜④を満たしたAIG群は44例、非AIG群は14例であった。この2群のデータから診断基準となる血清データ値を検討した。

<結果>AIG群は男女比1:2、平均Ga値2705±2024pg/ml、PG1値7.5±5.5ng/mlであった。非AIG群は男女比1:1.3、平均Ga値438±918pg/ml、PG1値35.5±25.5ng/mlであった。PCA抗体価20倍をcut off値とするとAOROC 0.88358、感度88%、特異度81%、Ga値のcut off値を530pg/mlとするとAOROC 0.93344、感度91%、特異度84%、PG1値はcut off値を16.7ng/mlとするとAOROC 0.88393、感度89%、特異度67%であった。

<考察>本検討では血清マーカーの基準値としてPCA抗体価20倍以上、Ga値530pg/ml以上、PG1値16.7ng/ml以下が算出された。これらを満たすAIGの多くは終末像と考えられ、当然のことながら内視鏡像は高度の体部腺萎縮を示す。AIGの絶対的基準としては有用と考えるが初期像や軽症例に関しては更なる検討が必要である。

 

7 A型胃炎の診断におけるガストリン、ペプシノーゲン値の検討

  丸山保彦 寺井智宏

  藤枝市立総合病院

自己免疫性胃炎(AIG)の診断におけるガストリン(G)、ペプシノーゲン(PG)について考える。

【対象と方法】当院で経験した内視鏡所見とPCA(抗壁細胞抗体)陽性から診断したAIGは100例で、それからPCA10かつ抗内因子抗体陰性の4例と、組織所見が検討できない15例をのぞく81例をAIG確診群とした。非AIGは(1)内視鏡所見と自己抗体陰性者30例と、そのうち(2)組織学的にもAIGが否定されている14例とに分けてAIG確診例と(1)、AIG確診例と(2)を比較した。またAIG確診例の病理所見でECMの検出率を調べた。

【結果】G値はAIG確診群で2756±1810pg/ml、非AIG(1)で648±829pg/ml、非AIG(2)で833±1066pg/mlでAIGと非AIG両群と有意差を認めた(p<0.01)。PG1はそれぞれ12.2±16.7ng/ml、22.3±17.5ng/ml、17.5±13.9ng/mlで、AIG確診例と非AIG(1)との間に有意差を認めた(p<0.01)。PG2は12.1±6.4ng/ml、9.9±5.2ng/ml、9.4±5.4で有意差はなかったが、PG1/2比は0.9±0.7、2.3±1.7、2.1±1.7で有意差を認めた(p<0.01,p<0.05)。Gのカットオフ値を700pg/mlとすると感度は95%、特異度は(1)67%、(2)50%となった。またPG1/2比のカットオフ値を1.5とすると感度は86%、特異度は(1)58%、(2)46%となった。AIG確診例の病理生検でECMを認めたのは74例(91%)であった。

【結論】G,PGともに特異度が低いのは今回の対照が高度萎縮群であるためと考えられる。診断基準設定に当たっては対照群をどう設定するのかが問題である。今回の検討からGはカットオフ値を設けることができるかもしれないが、PG値の設定は早期AIGの取りこぼしにつながりかねないと考える。

 

8 自己免疫性胃炎の血清ペプシノゲン、血清ガストリン値に関する検討

  古田隆久1)、山出美穂子2)、鏡卓馬2)、鈴木崇弘2)、樋口友洋2)、谷伸也3)、濱屋寧2)岩泉守哉4)、大澤恵3)、

  杉本健2)

  浜松医科大学附属病院臨床研究管理センター1)、浜松医科大学第一内科2)、

  浜松医科大学医学部附属病院光学医療診療部3) 浜松医科大学医学部附属病院臨床検査医学4)

緒言:自己免疫性胃炎(以下AIG)は、ペプシノゲン (PG ) I, PG I/II比が低く、高ガストリン血症を来すことが知られており、これらはAIGの拾い上げに有用と考えられる。そこで、AIGの拾い上げに適した血清パラメーター値を求めることとした。

方法:浜松医科大学のピロリ菌専門外来を受診し、PG、抗Hp IgG抗体価が測定されABCリスク評価が可能で内視鏡検査を施行された症例を対象とした。そのうち抗壁細胞抗体もしくは抗内因子抗体陽性で、組織学的な基準を満たし内視鏡的にも胃体部有意の萎縮を認めた場合をAIGとした。AIGでのガストリンを含む血清パラメータの分布を検討し、95%の症例が含まれる範囲を設定した。ROC曲線にて最もAIGと非AIGの分離に有用なパラメーターを検討した。なお、リスク評価の抗Hp IgG抗体カットオフは3U/mlを採用した。

結果:基準を満たした439例中、AIGは76例、非AIGは325例あった。AIG vs非AIGで、血清PG I:9.5±17.8 vs 58.2±45.6 ng/ml (P<0.001)、PG II:9.7±7.2 vs 20.1±15.7 ng/ml (P< 0.001), PG I/II:09±0.6 vs 3.3±2.1 (P<0.001), 抗Hp IgG抗体6.1±15.1 vs 28.6±20.8 U/ml (P<0.001)、ガストリン:2621±1869 vs 359±369 pg/ml (P<0.001)、PG I/gastrin比:23.6±123.8 vs 289.5±304.5 (P<0.001)であり、いずれの血清パラメーターもAIGと非AIGでは有意に異なる値を示した。ROC解析ではPG I/gastrin比が最も分離がよく、ついでPGI、PG I/II比、ガストリン、PG IIの順であった。AIG 76例の95%にあたる上位下位2名を除いた72例の分布は、PG Iは0(測定感度以下)〜35.2 ng/ml、PG IIは3.6〜21.0 ng/ml、PG I/IIは0〜2.6、抗Hp IgG抗体価は、3未満〜47 U/ml, ガストリンは140pg/ml〜8400 pg/ml、PG I/gastrin比は0〜126.4となる。ABCリスク分類)では、A群0例、B群2例、C群33例、D群41例であり、C+D群が全体の97.4% (74/76)を占めた。D群全体の91.1% (41/45)がAIGであった。

結語:AIGの血清PG I, PG I/II比の平均値は低く、ガストリンは高値であるが、PG Iが低値を示さなかったり、gastrinが余り高くない症例も存在し95%の症例を含む値の幅は広くなる傾向があった。単独のパラメーターとしてはPG Iが最もよいが、PG I/gastrin比とすることで非AIGとの差別化が改善された。一方で、AIGの95%がPG法陽性であり、特にD群では高い確率でAIGとなるため、AIGの拾い上げに有用と考えられた。

詳細

日付:
5月 24日
時間:
1:30 PM - 4:00 PM
イベントカテゴリー:

会場

国立京都国際会館
京都府京都市 左京区宝ヶ池 〒606-0001 + Google マップ
電話番号:
075-705-1234
Web サイト:
http://www.icckyoto.or.jp/