超音波内視鏡下瘻孔形成術による閉塞性黄疸治療(EUS-guided biliary drainage:EUS-BD)は超音波内視鏡ガイド下に、経消化管的に胆道にアプローチし、ドレナージを行う手技である。本手技は、原則的に経乳頭的胆道ドレナージが困難な症例において、経皮経肝胆道ドレナージ、外科治療に並んで考慮される治療の選択肢の一つである。本手技の短期的有効性について多数の報告があるが、手技に関連した偶発症として胆汁性腹膜炎、出血、穿孔などが知られており、時に重症化する例も存在する。長期成績に関しては、多数例での報告は少ないのが現状である。また、手技の標準化、偶発症の予防策など解決すべき問題も残っている。従って本手技を行う際は、その適応を十分考慮し、手技、成績、偶発症、代替手段を患者さんに十分に説明し同意を得た上で行うべきである。また、偶発症が発生した際に迅速に対応できる、外科医、放射線科医などを含めた診療体制を予め病院内で構築しておく必要がある。更に、本手技の施行医および介助医は、手技に関する十分な知識を有し、内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)関連手技および超音波内視鏡ガイド下穿刺術(EUS-FNA)に熟練していることが必要である。初回実施前に経験の豊富な施設で見学、研修を行うことが望ましい。初回実施時にはこの手技に精通した医師の下で行うことを推奨する。
2014年7月
日本消化器内視鏡学会
日本消化器病学会
日本胆道学会
日本膵臓学会 合同
EUS-BD 診療に関する提言策定委員会
委員長 藤田 直孝
委 員 伊佐山 浩通、河上 洋、北野 雅之、畑中 恒、松元 淳
特別協力者
糸井 隆夫、久津見 弘、山雄 健次