一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 Japan Gastroenterological Endoscopy Society

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消化器内視鏡検査におけるクリスタルバイオレットの使用に関する学会声明

 「クリスタルバイオレット」を用いた色素拡大内視鏡検査は、特に大腸上皮性病変の治療方針を決定する上で有用であり、本学会発刊の「大腸ESD/EMR ガイドライン」において、これまでその使用を推奨してきました。これまで「クリスタルバイオレット」(商品名:ピオクタニン)は、1%「実験用」と0.2%「臨床用(口腔内の消毒・殺菌)」が市販されており、色素内視鏡検査用には各施設の判断でどちらかが選択され、院内製剤として希釈作成されていました。

 

 この度、主に欧米で皮膚、口腔、鼻腔および膣内などにおける抗真菌薬として用いられてきた「ゲンチアナバイオレット」に文献上、動物実験で経口的暴露によって(摂取した動物自体に)発癌性を認めたことから、本年6月、カナダ保健省(Health Canada)は本薬剤の発癌リスクを認定しました。

https://healthycanadians.gc.ca/recall-alert-rappel-avis/hc-sc/2019/70179a-eng.php

臨床例での発癌の報告はこれまで認めないものの、これによりカナダ国内での本薬の発売許可は取り消され、在庫の廃棄も薦められております。本邦においても、0.2%ピオクタニン液(医薬品第三類、本草製薬)がカナダ当局の結果を受けて製造中止となりました。

 

 カナダ保健省が「ゲンチアナバイオレット」による発癌の臨床報告はないとしていることと同様に、本学会においても「クリスタルバイオレット」による発癌の報告をこれまで臨床例では受けておらず、希釈された「クリスタルバイオレット」を腸管内で一時的に病変に散布・染色することによる発癌の可能性は高くないと考えられますが、臨床例での検討はまだ十分ではありません。色素内視鏡検査で用いられる「クリスタルバイオレット」は、トリフェニルメタン系塩基性色素の混合物であり、「ゲンチアナバイオレット」と同等品であることから、このたび日本消化器内視鏡学会は「クリスタルバイオレット(ピオクタニン)」の取り扱いについて検討し、以下のような見解に至りました。 

 

『ピオクタニンの臨床使用に際しては、従来から注意喚起されているように、その安全性については現在のところ確立されていない。したがって、その使用による患者(被験者)の利益が不利益をうわまわると判断される場合にのみ、施行医および施設の責任のもと、必要最小量の使用にとどめることが望ましい。なお本学会としては、将来的には画像強調内視鏡が本法の代替検査法となるべく、本領域における更なる内視鏡医学研究の進歩を期待するものである。

 本薬をご使用にあたっては上記をご参考にして頂ければ幸いに存じます。

 

令和元年12月

一般社団法人日本消化器内視鏡学会
理事長  井上 晴洋

医療安全委員会
担当理事 入澤 篤志

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