2026年10月14日国際関係
藤城光弘 理事長、Sadataka Tasaka Honorary Lecture を講演
2026年9月24日から26日まで南アフリカ共和国ケープタウンで開催された第5回世界内視鏡学会(ENDO 2026)において、北野正剛先生(A-PSDE理事長)、田尻久雄先生(WEO前理事長、JGES名誉理事長)、Cesare Hassan先生(ESGE理事長)ご司会のもと、日本消化器内視鏡学会(JGES)理事長である藤城光弘先生(東京大学大学院医学系研究科消化器内科学教授)が、Sadataka Tasaka Honorary Lectureを担当されました。
Sadataka Tasaka Honorary Lectureは、日本消化器内視鏡学会初代理事長であり、日本の消化器内視鏡医学の礎を築いた故 田坂定孝先生の功績を顕彰して設けられた特別講演です。本講演は、世界の消化器内視鏡学の発展に顕著な貢献を果たした研究者・指導者に委ねられる名誉ある講演として位置付けられており、ENDO 2017 北野正剛先生、ENDO 2020 田尻久雄先生、ENDO 2022 Khean Lee Goh先生(マレーシア)、ENDO 2024 D Nageshwar Reddy先生(インド)と講演が行われました。つまり、日本人としては北野先生、田尻先生に続き、藤城光弘先生が3人目の講演担当者となります。
藤城光弘先生は、「Endoscopic Challenge toward Reduction of Incidence and Mortality of Gastric Cancer」と題し、日本が世界を先導してきた胃癌対策の歴史と将来展望について講演されました。講演では、胃カメラ開発に始まる日本の内視鏡医学の発展、胃癌検診の普及、早期胃癌診断技術の確立、さらには内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)の発展による低侵襲治療の実現など、日本の内視鏡医学が胃癌の予防、早期発見、死亡率低減に果たしてきた役割が紹介されました。
また、日本消化器内視鏡学会理事長として推進するJapan Endoscopy Database(JED)を基盤とした医療の質向上への取り組みや、胃癌のリスク層別化、内視鏡診療の標準化、人工知能(AI)を活用した診断支援技術の開発など、わが国が世界をリードする胃癌診療の現状と今後の方向性についても紹介されました。さらに、WEOのUpper GI Cancer CommitteeおよびStomach and Duodenal Diseases Committeeの委員長として藤城光弘先生が中心的役割を果たしてきた胃癌領域の国際コンセンサス作成や教育活動を通じて、世界規模で胃癌による疾病負担の軽減を目指す取り組みについても紹介されました。
東京大学消化器内科では、胃癌克服を目指した研究として、Helicobacter pylori 除菌後の高リスク胃粘膜の同定、エピゲノム異常や胃内細菌叢を用いた発癌リスク評価、人工知能による高精度内視鏡診断、さらに内視鏡と外科手術を融合した低侵襲治療の開発に取り組んでいます。加えて、内視鏡画像、臨床情報、ゲノム・エピゲノム情報、さらには微生物叢解析を統合した次世代の胃癌リスク予測システムの構築を進めており、予防から診断、治療までを包括した新しい胃癌マネジメントの実現を目指しています。
講演の最後には、「内視鏡は単なる診断機器から、胃癌の予防、リスク評価、早期発見、低侵襲治療を担う包括的な医療基盤へと進化してきた。今後はAIやマルチモーダルデータ統合による精密医療を推進するとともに、国際連携を通じて世界全体の胃癌予防と死亡率低減に貢献していくことが重要である」との展望が示されました。
今回、藤城光弘先生がSadataka Tasaka Honorary Lectureを担当されたことは、先生ご自身の学術的業績のみならず、日本消化器内視鏡学会が長年推進してきた胃癌の予防・早期診断・低侵襲治療に関する取り組み、さらには日本の消化器内視鏡医学が世界の発展に果たしてきた貢献が国際的に高く評価されていることを示すものです。本講演は、日本が培ってきた胃癌診療の経験と知見を世界へ発信するとともに、今後の国際連携をさらに発展させる重要な機会となりました。




WEOのmissionや活動内容についてはこちらをご参照ください。
https://www.worldendo.org/about-us/our-mission
日本消化器内視鏡学会
広報委員会