一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 Japan Gastroenterological Endoscopy Society

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新型コロナウイルス感染症に関する消化器内視鏡診療についてのQ&A

(特にクリニックや比較的規模の小さな病院での内視鏡検査を想定した場合)

 

日本消化器内視鏡学会、2020年5月1日(第3版)

Q&A集の作成にあたって

 新型コロナウイルスが大きな問題となっている現況での消化器内視鏡診療にあたっては、第一線専門施設では本学会の提言を含めて種々のガイドラインや各施設内の指針に準じて万全の体制で臨まれていると存じます。特に、新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく緊急事態宣言が全国に拡大されている現在、感染拡大を防ぎ、かつ医療従事者を守ることは極めて重要です。一方、一般のクリニックや比較的規模の小さな病院では対策に苦慮されているとのお話を多く耳にします。このような状況に鑑み、日本消化器内視鏡学会では、そのような先生方への情報提供として「新型コロナウイルス感染症に関する消化器内視鏡診療についてのQ&A」を作成いたしました。なお、この内容は一般のクリニックや小規模病院のみならず、幅広いご施設で参考としていただけるものと考えております。

 なお、このQ&Aは本学会が示したひとつの目安であり、それぞれの施設の対応を制限するものではありません。この指針を参考にしていただき、各地域の感染状況や方針、各施設の状況に応じて具体的に適切な対応策を決めていただくことが重要です。

2020年5月1日

一般社団法人日本消化器内視鏡学会

理事長 井上 晴洋

医療安全委員会 委員長 入澤 篤志

副委員長 古田 隆久

目次

I.  はじめに

II. 新型コロナウイルス感染症に関する消化器内視鏡診療についての Q&A

 1.検査前の予約に関して

  CQ1. 新規の内視鏡検査の予約に際して留意すべき点

  CQ2. すでに検査予約済みの内視鏡検査の実施に関しての対応

  CQ3. 延期してよい内視鏡検査の内容・種類

  CQ4. 延期できない内視鏡検査の内容・種類

 2.受付、待合室での対応

  CQ5. 内視鏡検査室に入らないスタッフ(受付等)の防護策

  CQ6. 患者待合での注意事項

  CQ7. 待合室の環境管理での注意事項

 3.検査前の問診と内視鏡検査施行の判断

  CQ8. 内視鏡検査で来院した患者に伝えるべきこと

  CQ9. 患者が来院した際に、新型コロナ感染症に対して事前に問診すべき項目

  CQ10. 予約患者に対して、事前にCQ9の質問を事前に行うことは推奨できるか

  CQ11. 新型コロナウイルス感染が否定できない場合の対応

  CQ12. 新型コロナウイルス感染の可能性が低いと判断された時の対応

 4.検査同意の取得

  CQ13. 問診にて感染リスクが低いと判断された患者の検査当日の同意取得

  CQ14. 感染が疑わしいと考えられた患者への検査当日の同意取得

 5.前処置での注意点

  CQ15. 内視鏡検査前の前処置に関して注意点

  CQ16. 感染リスクの低い患者での前処置での防護策

  CQ17. 感染リスクが疑われている症例での前処置方法

 6.内視鏡検査施行時の注意点

  CQ18. 内視鏡検査実施するするスタッフとしての基本的な考え方

  CQ19. 内視鏡検査はなぜ感染リスクを高めるのか

  CQ20. 内視鏡検査スタッフの具体的な個人防護策

  CQ21. 内視鏡検査スタッフの健康管理としてすべきこと

  CQ22. 内視鏡検査室の人流れ、人員について工夫すべきこと

  CQ23. 感染確定・疑い患者に対する緊急内視鏡検査を施行する場合の対応

  CQ24. 検査の付き添いの家族への検査室への入室で注意すべきこと

 7.内視鏡検査後の対策

  CQ25. 感染確定・疑い患者に対する緊急内視鏡検査施行後における術者の留意点

  CQ26. 感染確定・疑い患者に対する緊急内視鏡検査施行後における患者対応の留意点

  CQ27. 感染確定・疑い患者に対する緊急内視鏡検査施行後の内視鏡機器の取り扱い

  CQ28. 検査終了後のスコープの洗浄・消毒

  CQ29. 検査終了後の処置具(critical器具)の洗浄・消毒

  CQ30. 感染確定・疑い患者に対する緊急内視鏡検査施行後の検査室への処置

  CQ31. 感染確定・疑い患者に使用したスコープ以外の機器の取り扱い

  CQ32. 消毒用のアルコールが入手困難な場合のアルコールフラッシュの代替方法

  CQ33. 後日被検者が感染者と判明した場合の対応

 8.その他

  CQ34. 感染確定・疑い患者に対する経験の浅い内視鏡医による施行の是非

  CQ35. 全ての患者毎に感染防護具の交換が必要か

  CQ36. N95マスクの再利用

  CQ37. 防護具不足に対する工夫

  CQ38. 経口内視鏡と経鼻内視鏡の感染リスク

 

I.  はじめに

  今般の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大に関して,消化器内視鏡診療の実施については,国・厚労省の方針や各施設の状況等を考慮した対応が求められています。2020年4月8日には新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐための「新型インフルエンザ等対策特別措置法」に基づく緊急事態宣言が発令され、依然として厳しい状況が続いています。

 日本消化器内視鏡学会は現在のCOVID-19の状況に鑑みた内視鏡診療について、『新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への消化器内視鏡診療についての提言』を発表し、2020年3月25日の第一版発表以降、本邦における状況に鑑みたアップデートを行ってまいりました。現在では第三版となっております(4月10日更新)。

 このたび、本学会からの提言に基づいて、消化器内視鏡に関わる先生方および関連するスタッフの方々にむけた、具体的な対応案を作成いたしました。特に一般のクリニックや比較的規模の小さな病院での内視鏡検査を施行している先生方にむけてQ&Aの形でご提示いたします。「クリニックや小規模の病院」と申しましても観察のみの内視鏡検査から、ポリープ切除や止血操作の治療内視鏡を施行する施設もありますので、各御施設の実態を勘案してご判断ください。各御施設において十分な感染対策が困難な場合には、実施可能で感染対策がとれている施設にご紹介されることが肝要と考えます。

 なお、このQ&Aは、一般のクリニックや比較的規模の小さな病院のみならず、幅広いご施設でご参考としていただけるものとして作成しておりますが、その内容は本学会が示したひとつの目安であり、それぞれの施設の対応を制限するものではありません。この指針を参考にして頂き、各地域の感染状況や方針、各施設の状況に応じて具体的に適切な対応策を決めていただくことが重要です。

II. 新型コロナウイルス感染症に関する消化器内視鏡診療についての Q&A

. 検査前の予約に関して

CQ1. 新規の内視鏡検査の予約に際して留意すべき点はありますか?

Ans. 無症候性の感染者の報告も相次いでいますので、 内視鏡従事者と被検者を守る観点から、緊急性の無い内視鏡検査は延期を考慮することを推奨します14。特に日本全国に緊急事態宣言が発令された現状においては、感染拡大を防ぎ、医療従事者を守るためにも強く推奨いたします。なお、新型コロナウイルス感染は地域での差が見られており、その地域ごとの状況に応じての対処が必要なのは言うまでもありません。

 

CQ2. すでに検査予約済みの内視鏡検査に関してはどのように対応すべきでしょうか?

Ans. CQ1と同様に、緊急性のない消化器内視鏡検査・治療に関しては延期を考慮することを推奨します2,3。被検者に電話や郵便等で連絡し、事情を説明し来院を控えるよう指示することが肝要と考えます。この「事情」については、物品不足・感染拡大など、各施設や地域の実情に沿ってご説明ください。

 

CQ3. 延期してよい内視鏡検査にはどのようなものがありますか?

Ans. 以下の検査は延期を考慮すべきであると考えられます5

  1. 無症候者に対するスクリーニングやサーベイランスを目的とした消化器内視鏡検査。検診の内視鏡検査など。特に、H. pylori未感染、H. pyloriの除菌後で萎縮が軽度である症例の上部消化管内視鏡検診などの場合
  2. 大腸ポリープの内視鏡切除後で取り残しなしと判断された症例の1年後の検査
  3. 検査結果が治療方針に大きな影響を与えないような経過観察目的の内視鏡検査。例えば、H. pylori除菌後で無症候の消化性潰瘍の経過観察、再発リスクの低い食道胃大腸でのESD後の経過観察、膵嚢胞の経過観察EUSなど1 

 

CQ4. 延期できない内視鏡検査にはどのようなものがありますか?

Ans. 以下の場合は延期すべきではないと考えます1,3,5

  1. 消化管出血がある症例の内視鏡検査や、消化管出血が疑われる場合
  2. 経口摂取に影響するような嚥下困難がある場合
  3. 胆管炎や閉塞性黄疸、その他有症状の胆膵疾患等内視鏡を使用しての処置が必要な場合
  4. 悪性疾患が強く疑われる場合
  5. 化学療法や手術に先立って行うステージングのための検査としての消化器内視鏡検査
  6. 内視鏡検査・治療によって、対応・管理方法が変わる可能性がある場合
  7. 各施設の責任者が必要と判断した場合

 これらの検査・治療の多くはクリニックで施行する頻度は低いと考えられますので、実施可能で感染対策がとれている施設に紹介されることが肝要と考えます。その際にはしっかりと新型コロナウイルス感染症に関する問診をとっていただいて、その内容を紹介先にお伝えいただけると病診連携がスムーズに運ぶと思います。

 

. 受付、待合室での対応

CQ5. 検査の前に患者に対応するスタッフ(受付等)でも防護策は必要でしょうか?

Ans. 必要です。受付のスタッフも手指消毒に努め、マスクと手袋を着用し、可能であれば、フェースシールドまたはゴーグル(アイシールド付きマスクも可)着用を考慮してください。その上で、いわゆる社会的距離をしっかりと保ってください。目、口、鼻の防護が肝要です。コンビニエンスストアやスーパーマーケットのレジなどでみられるビニールカーテンの設置も有用かもしれません。

 

CQ6. 患者待合での注意事項について教えてください。

Ans. 以下を参考にしてください。

  1. 患者同士の濃厚接触、感染を回避するため、待合室での手指消毒、マスク着用を奨励します5。手指消毒のためのアルコール消毒液は待合室に備え付けておく必要があります。
  2. 座席は対面にならないように、2m以上離れて座ってもらいます。
  3. 大腸内視鏡検査の前処置の場合でも、腸管洗浄剤の内服では患者同士が対面しないように座らせることが肝要です。
  4. 待合での混雑、待ち時間を短くするように、検査予約スケジュールの調整が必要です。

 

CQ7. 待合室の環境管理での注意事項について教えてください。

Ans. 以下を参考にしてください。

  1. このウイルスは気道分泌物だけでなく、糞便からも分離されますので、感染者が使⽤したトイレの便座や⽔道のハンドルも消毒の対象となります。従って、大腸内視鏡における前処置で使用されるトイレについては、患者に使用前後の便座消毒などの協力をお願いすることは一案です。また、トイレの蓋を閉めてから流していただくことや、エアータオルを使用せずにペーパータオルを用いることも飛沫感染およびエアロゾル感染への対策となると思われます。
  2. 患者の入れ替わり時には、患者が使用した椅子や机、手すり等のアルコール消毒を行う事を推奨します。
  3. こうした場所の環境清掃を行うスタッフは⼿袋、サージカルマスク、ガウン、フェイスシールドまたはゴーグル(アイシールド付きマスクも可)、キャップを着⽤して行う事を推奨します。

 

. 検査前の問診と内視鏡検査施行の判断

CQ8. 内視鏡検査で来院した患者に伝えるべき事はありますか?

Ans. 以下の内容をお伝えください。

  1. 新型コロナウイルスへの感染状態に関する問診や体温測定の結果次第では延期になる可能性があること。
  2. 内視鏡検査に際しての感染対策は万全を期しているも、内視鏡検査室や待合室にいる間にウイルスに曝露する可能性があること。

 

CQ9. 患者が来院した際に、新型コロナウイルス感染症に対して事前に問診すべき項目とその時の注意点を教えてください。

Ans. 問診票での質問項目としては下記の項目を含めることを推奨します。

 1.患者の状態に関する項目

  ①のどの痛み、咳や痰などの風邪の症状はありますか?

  ②2週間以内に、37.5℃以上の発熱がありましたか?

  ③疲れやすい、倦怠感などの症状はありますか?

  ④味覚や嗅覚に異常を感じますか?

  ⑤4−5日続く下痢等の消化器症状はありましたか?

  ⑥現在の体温は?

 2.感染リスクに関する項目

  ①2週間以内に感染者が急増している地域(特に特定警戒都道府県)を訪問したり、そちらから来られた方と接触したことがありましたか?

  ②2週間以内に「新型コロナウイルス感染者やその疑いがある人」、または、「そのような人と接触した人」との接触がありましたか?

  ③2週間以内に海外に渡航されましたか?

  ④2週間以内に「海外から帰国された方」や、「そうした方と接触した人」との接触がありましたか?

  ⑤2週間以内に、ライブハウス等の人の多いお店や接待を伴う外食店に行かれたことがありましたか?

 

 内視鏡検査前に、当日に検温することが肝要です。問診や体温測定の結果、すべての項目で該当しなければ感染の可能性が低いと判断してください。1項目でも該当する場合は感染が否定できないと考え、各施設の規則に従って対応してください。

 なお、直接問診する場合には、1m以上の距離をあけて、マスクやフェイスシールド等を着用するなど個人防護に配慮した状態でお願いします6

 

CQ10. 予約患者に対して、来院前にCQ9の質問を事前に行う事は推奨できますか?

Ans. 推奨できます。来院前に問診にて感染リスクがわかれば、感染リスクのある患者の来院を防ぐことができます。この観点から、可能であれば来院前に電話等によりCQ9で示した問診を行い、感染のリスクが疑われた場合は、検査の延期をご検討ください6。延期できない場合には、実施可能で感染対策がとれている施設に紹介することご検討ください。自院で実施される場合には自院の感染防護策を確認するとともに、患者さんには内視鏡検査をうける当日までの毎日、体温と各種症状の記録をつけていただくことを推奨します。新規の予約時には体温を含む症状の日誌( 参考1_新型コロナウイルス感染症 内視鏡検査前症状日誌 (案))を渡し,それを検査日に持参してもらってください。

 

CQ11. 問診や体温測定で新型コロナウイルスの感染が否定できませんでした。どのように対応すべきでしょうか?

Ans. 以下の対応を推奨します。

  1. 内視鏡検査の内容を勘案し、延期可能な場合には、延期する。
  2. 患者の状態より内視鏡検査が必要であると判断された場合には、自施設での体制が整っているかを判断し、可能と判断できる場合にのみ実施を考慮する。
  3. 自施設での体制が整っていない場合は、対応可能な他施設(感染対策がしっかりととれている施設)に紹介する6
  4. 対応可能な紹介先が見つからない場合は、改めて自施設での体制が整っているかを判断し、可能と判断できる場合にのみ実施を考慮する。
  5. 検査の順番を変更可能であれば、感染疑い患者の検査は最後になるように調整する。また、その際の待合いについても他患者と接触する可能性ができるだけ少なくなるように御配慮ください。

 

CQ12. 問診や体温測定で新型コロナウイルス感染者の可能性が低いと判断されました。どのように対応すべきでしょうか?

Ans. 万全を期すためにも、内視鏡検査室や待合室にいる間にウイルスに曝露する可能性があることを伝えた上で、本人の希望がある場合には検査を行ってください。なお、患者の状態や検査内容によっては他施設への紹介をご検討ください6この点については,各地域の感染状況に応じた連携体制をあらかじめご確認ください。

 

4.検査同意の取得

CQ13. 問診にて感染リスクが低いと判断された患者の検査当日の同意取得は通常どおりの対応で宜しいでしょうか?

Ans. 無症候感染例も報告されております。通常の内視鏡検査は可能と考えますが、同意を取る際には、マスクを着用し可能な限りの距離を保ってください。なお、地域や施設の状況に応じて、内視鏡検査室や待合室にいる間にウイルスに曝露する可能性についての同意をいただくこともご検討ください。

 

CQ14. 感染が疑わしいと考えられた患者からの検査当日の同意の取り方について教えてください。

Ans. 感染が疑わしいとされた患者で検査を施行すると判断した場合、患者には必ずマスクを着用してもらったうえで、同意書のサインには使い捨てのペンを使用して、マスク、フェースシールドと手袋を着用したスタッフが対応する必要があります1

 

5.前処置での注意点

CQ15. 内視鏡検査前の前処置に関して注意点を教えてください。

Ans. 以下の点にご注意ください。

  1. 咽頭麻酔や鼻孔の麻酔は、熟練者が行うようにしてください7。熟練者が行う事でエアロゾル化のリスクを低下でき、内視鏡スタッフへのウイルス曝露リスクも低下します。
  2. 検査室とは別に前処置室を設けている施設においては、前処置室で一人ずつ行ってください。
  3. 鼻腔や咽頭麻酔時の患者の咳き込みによる飛沫感染を予防するために、確実な感染防護策を行っているスタッフが行う事を推奨します。この際、目・鼻・口を必ず防護してください。また、キャップを着用するようにしてください。
  4. 前処置時には患者とは対面にならないようにすることが必要です。対面式のジャクソンスプレーなどを用いた咽頭局所麻酔の際にも咳嗽を誘発しエアロゾルを発生させる可能性はありますので,可及的にエアロゾルを発生させない配慮が必要となります。

 

CQ16. 感染リスクの低い患者での前処置での防護策はどうしたらよいでしょうか?

Ans. 無症候の感染者もいることが知られており、スタッフは専用スクラブ、サージカルマスク、袖付きのガウン、手袋、フェイスシールドまたはゴーグル(アイシールド付きマスクも可)、さらにキャップを着用することを推奨します。しかしながら、各地域・施設によって感染状況や防護具在庫状況は異なります。その状況に応じた対応策をご検討ください。

 

CQ17. 感染リスクが疑われている患者に対する前処置はどのようにすべきでしょうか?

Ans. 前処置室への患者出入においては、各患者の手指消毒などをしっかりと行うことを推奨します。また、前処置を行う際にはCQ16の防護に加えて、N95のマスクを使用するなど、前処置における感染の危険性を十分考慮ください。内視鏡の必要性を判断し、他施設への紹介もご検討ください。なお、咳嗽誘発、エアロゾル発生を防止する観点から、スプレータイプでの咽頭麻酔は行わず、ゼリー・ビスカス等での対処がよいと思います。

 

. 内視鏡検査施行時の注意点

CQ18. 内視鏡検査を実施するスタッフとしての基本的な考え方を教えてください。

Ans. やむを得ず内視鏡検査を実施する場合では、誰もがこのウイルスを保有している可能性があるとして対応してください。感染しないための個人防護策、感染させないための対策等々に対して、各施設のルールを遵守してください。特に目、鼻、口の防護が重要です。内視鏡室に入るスタッフの人数は最小限としてください2,6,8。このことは、防護具不足対策にも繋がります。

内視鏡検査に関わる全スタッフが各施設でのCOVID-19対策の取り決めついて十分に理解している必要があります9

 

CQ19. 内視鏡検査はなぜ感染リスクを高めるのでしょうか?

Ans. 新型コロナウイルスは気道分泌物および糞便から分離されます。そして、飛沫やエアロゾルを介しての感染が考えられます。内視鏡検査時には、上部消化管内視鏡では患者の咳き込みや嘔吐反射の際に、また、大腸内視鏡検査ではガス排出時などに、ウイルスを含む⾶沫やエアロゾルが拡散し、これらを介した感染が起こりえます10。その他、ウイルスが付着した手や手袋等から直接あるいは間接的に⽬、⿐、⼝の粘膜に付着する事もあり得ます。検査後のスコープや使用したその他の機器も感染源となり得ます。また、検査室に設置してある電子カルテ等のキーボードも感染源になる可能性もあります。

 

CQ20. 内視鏡検査スタッフの個人防護策について具体的に教えてください。

Ans. 新型コロナウイルス感染症では⾶沫感染予防策と接触感染予防策を講じる必要があります。以下の点をご考慮ください5,8,11

  1. ウイルスの侵入経路である目鼻口を守るための個⼈防護具(PPE; Personal Protective Equipment)を着⽤してください2。目、鼻、口はアイシールド付きサージカルマスク、あるいはサージカルマスクとゴーグル/アイシールドとフェイスガードの組み合わせで防護します。感染が疑われる症例の場合はN95マスクの使用、および2重の手袋装着を推奨します。
  2. さらに、キャップ、袖付きのガウン、手袋を装着します。検査の間には手指から肘までの洗浄・消毒をしっかりと随時行ってください。
  3. そして、汚染したと思われる手袋、エプロン等は速やかに廃棄して廃棄容器は密閉できるものとしてください。ガウンやエプロン着脱時にはウイルスが飛散する可能性も指摘されていますので、十分注意して廃棄してください。感染が疑われる症例の場合ではN95マスクを使用してください2。手袋は二重としてください1
  1. コロナウイルスはエンベロープを有するため、擦式アルコール⼿指消毒薬は新型コロナウイルスの消毒にも有効です。

 

CQ21. 内視鏡検査スタッフの健康管理としてすべきことがあれば教えてください。

Ans. 以下の内容を推奨します。

  1. スタッフ全員の連日の体温測定
  2. CQ9で示す問診票にある自覚症状についての自己申告
  3. 感染疑いのあるスタッフは検査に携わることは禁止(自宅待機を勧めますが、各施設の規則に従ってください。)

 

CQ22. 内視鏡検査室の人の流れ、人員について工夫すべき事があれば教えてください。

Ans. 内視鏡検査室への人の出入を最小限にすることに努め、また、感染例や感染の可能性の高い症例に対するマニュアル(患者の待合での場所、使用する検査室、リカバリー室での場所、患者の動線等々)を作成しておくことが肝要です6。特に、感染リスクの高い患者の動線については、予め施設内で決めておくことが必要です(ゾーニングの推奨)。また、検査に関わるスタッフも最小限にすることを推奨します。

 

CQ23. 感染が疑われる患者や感染確定患者の緊急内視鏡検査を施行する場合にはどのように対応すべきでしょうか?

Ans. 以下の対応を推奨します。

  1. 新型コロナウイルス感染症の疑い、あるいは確定患者であっても、内視鏡検査が必要な場合においては、前述の徹底した感染防護策を遵守することで実施できます。しかし、緊急的な検査を自施設で実施すべきか、対応可能施設に搬送する余裕があるかを十分に見極めてください。
  2. 消化管出血、閉塞性黄疸での減黄等、緊急の内視鏡検査は処置を伴うことも多く、通常の検査よりも時間がかかることが多く、また、患者の咳や排ガス等で飛沫が起こりやすく、内視鏡術者やスタッフの感染リスクはより高くなり、ひいては院内感染につながるリスクが高いと考えられます。したがって、術者を含むスタッフ全員が、適切な防護策を講じた上で内視鏡検査にあたってください。なお、一般的な防護策としてシューズカバーは必要ありませんが、血便や下痢など、便による汚染の可能性がある場合には着用をご検討ください。
  3. 内視鏡検査室までの患者の移送については各施設の規則に則って行ってください(ゾーニングの徹底)。
  4. もし、検査順序の調整が可能であれば、感染の可能性の低い患者の後に行うよう、検査の順番を考慮することを推奨します。
  5. 患者を検査室に入れる際には、他の患者や感染予防策を行っていないスタッフ等がいないことを確認してからとしてください。
  6. 検査担当医師ならびに補助スタッフは、長袖ガウン、N95マスク、ゴーグル(もしくはフェイスシールド)、キャップ、手袋二重着用、可能であればシューズカバーを着用して検査を行う事を推奨します6
  7. 陰圧室での実施を推奨します12。陰圧室での施行が難しい場合は、検査室の換気にも十分な配慮が必要と考えます。しかし、エアロゾルを広めないために検査室は他の部屋や通路に対して開放せずに行う必要があります。終了後の検査室内の換気を適切に行う必要があります6
  8. 個人防護具の不足を招かないためにも、また、ウイルスへの曝露リスクに晒されるスタッフを少なくするためにも必要最低限の人数で検査にあたってください。
  9. 器具の汚染や検査後の洗浄を考慮し、内視鏡検査室に置くものは必要最小限してください。電子カルテ等のキーボードについても、のちの接触感染を防止するための工夫(カバーをかける、アルコール等での消毒)もご考慮ください。
  10. 鎮静下で内視鏡検査をする場合に、鎮静が浅いと嘔吐反射が強く出てエアロゾル化のリスクが高くなる可能性が考えられます。深い鎮静はリスクを伴いますが、鎮静が浅い場合には、患者の苦痛軽減のためにも適度な深さの鎮静となるような調整は有用かもしれません。

 

CQ24. 検査の付き添いの家族への検査室への入室に関してはどうしたらよいでしょうか?

Ans.  付き添いの方が検査室に入室する際にも、術者と同等レベルの個人防護策を講じる必要がありますが、個人防護具には限りがあります。また、付き添い者も感染リスクを負うことになります9。別室でのモニターがあれば、それを活用したり検査後の画像を紹介するなど施設の状況に応じた対応をお願いします。どうしてもという場合でも1名を限度とすべきです。付き添い関しては、検査終了後のリカバリー室での感染リスクにも配慮してください。

 

7.内視鏡検査後の対策

CQ25. 感染が疑われる患者や感染確定患者での緊急内視鏡検査の施行後の術者が留意すべきことについて教えてください。

Ans. 検査後も引き続き感染予防対策を講じていくことが必要です。術者・スタッフの個⼈防護具は、検査室を出る際に破棄します。なお、防護具を破棄する際にはウイルス飛散などの可能性について十分に留意し、破棄後は肘までの手指洗浄を徹底してください。スコープや再利用する機器は本学会ガイドライン14に従った洗浄をお願いします。

 感染確定患者の検査後は、個人防護策を徹底していれば曝露リスクは低リスクと判定されます。しかし、認識されない曝露があるかもしれないため、その日は業務から外れるなど各施設の基準に則り対応してください。以降は、自己モニタリングは必須であり、毎日の体温測定、症状の評価を行い無症状であることを確認してからその日の業務を始めてください13

 

CQ26. 感染が疑われる患者や感染確定患者での緊急内視鏡検査後の患者への対応で注意すべき点について教えてください。

Ans. 検査終了後には患者にもマスクを着用させます。特に経口的な検査を行った場合では、咳嗽の頻度も高く、検査後の飛沫感染を予防するためにマスクを必ず着用させてください。また、感染が疑われる患者がリカバリー部屋を用いる場合は、必ず他の患者と隔離される別の部屋をご用意ください5

 

CQ27. 感染が疑われる患者や感染確定患者での緊急内視鏡検査後の内視鏡機器の取り扱いについて注意すべき点について教えてください。

Ans. 検査終了後の内視鏡の運搬や洗浄に関しても十分な感染予防策をとることが重要です。スコープ類など洗浄にかけるものは、可能な限り密閉容器での運搬を推奨します。それが難しい場合は、台車にオイフのようなディスポーザブルシーツを敷き、その上にスコープを置き、さらにスコープの上にもディスポーザブルシーツをかけて周囲への汚染を最小限にすることをに努めてください。また、洗浄を担当するスタッフも、飛散による汚染、感染防止のため、術者同様に長袖ガウン、マスク、ゴーグル(もしくはフェイスシールド)、キャップ、二重手袋、シューズカバーを着用して、直接、口、目、鼻のみならず、肌への飛散がないようにしてください。洗浄終了後にスコープを取り出すときには、汚染されていないエプロンに交換していることが望ましいと考えます。洗浄も手慣れたスタッフが施行することが必要です7

 

CQ28. 感染が疑われる患者や感染確定患者での緊急内視鏡検査後のスコープの洗浄方法は何か特殊な方法がありますか?

Ans. 特殊な方法はありません。スコープの洗浄は本学会のガイドラインに従って洗浄、消毒していただければ問題ありません14(「消化器内視鏡の洗浄・消毒標準化にむけたガイドライン」)。洗浄履歴をきちんとつけることが肝要です。

 

CQ29. 感染が疑われる患者や感染確定患者での緊急内視鏡検査後の処置具等のcritical器具の洗浄方法は何か特殊な方法がありますか?

Ans. 特殊な方法はありません。処置具はディスポーザブル製品を用いることを推奨しますが、再使用可能製品を使用する場合は,再使用可能製品メーカーの取扱い説明書に従った十分な洗浄・滅菌が必要であると考えます14

 具体的な方法の一案として、あるクリニックでの運用方法をご紹介いたします15。使用した器具は、使用後直ぐに蛋白分解酵素を溶解した水にしっかりと浸します。その後、鉗子ではカップなどをブラシで洗浄します。そして超音波洗浄機に30分かけます。流水ですすぎ、潤滑・防錆剤(スティンミルクs200など)に浸します。ガーゼで水分を拭き取り、滅菌パックにいれて、オートクレーブ等の滅菌処置を行います。

 

CQ30. 感染疑い、あるいは確定患者での緊急内視鏡検査後の検査室はどのような処置が必要でしょうか?

Ans. 内視鏡検査後は、ウイルスが飛沫しエアロゾル感染が起こりやすい状況となっていると考えるべきで、検査終了後には、検査室の扉は開放せずに十分な時間をかけて換気を行ってください。その後、室内を通常清掃し、部屋全体をアルコール等で清拭し消毒を行うことを推奨します5,6。また、先述のように、検査室内の電子カルテキーボードの消毒も徹底してください。

 

CQ31. 内視鏡検査の際に使用した、スコープ以外の機器の取り扱いについて教えてください。

Ans. 鉗子等のディスポのデバイス類は、検査の各部屋に備え付けの感染性廃棄容器に入れてください。そうした容器を開ける際にも注意が必要です。Critical器具で再利用される場合はCQ29を参考にしてください。それ以外のnon-criticalなもので再利用する物品に関しても本学会のガイドライン14に従い、洗浄後アルコール等での消毒をすることを推奨します。患者に触れた聴診器や体温計、⾎圧計等、パルスオキシメータ等の器材は、アルコールや抗ウイルス作⽤のある消毒剤含有のクロスでの清拭消毒を⾏います。検査台のシーツ、枕カバー、トロリー使用の紙シーツ類は毎回交換してください。シーツ類は感染汚染物として取り扱ってください。

 

CQ32. 消毒用のアルコールが入手困難となってしまいました。スコープの洗浄過程でのアルコールフラッシュができなくなりそうです。何かよい方法はありますでしょうか?

Ans. 以下の内容を推奨いたします。

  1. アルコールフラッシュは、消毒目的ではなく乾燥目的です。従って、適切に洗浄消毒工程を実施すれば、アルコールフラッシュを実施しない場合でもスコープの消毒はできていると考えて問題ありません。
  2. アルコールフラッシュを行うことができない場合の対応方法として、内視鏡スコープの製造各会社より代替案がでております。詳細については、後述のメーカーからの対応法が当学会に届いております。後述の参考2-4をご参照ください。

 

CQ33. 感染のリスクの少ない患者の検査をしたところ、後日感染していることが判明しました。どのように対応したら宜しいでしょうか?

Ans. 個人防護策および検査後の手指洗浄が徹底されていれば、低リスクと判定されます。ただし、認識されない曝露の可能性は否定できないため、自己モニタリングが必須であり、毎日の体温測定、症状の評価を行い無症状であることを確認してからその日の業務を始めてください。

 個人防護策に不備があった場合(フェースシールド、マスク、袖付きのガウン、手袋のいずれかが未着用で、目・鼻・口や手指腕等のいずれかの防護が不完全であった場合)、高リスクと判定されますので、内視鏡検査施行時の状況を含めて各施設の対応部署、または保健所に報告し、消毒の方法や範囲、濃厚接触者への対応、業務継続の可否など事後措置について指示を仰いでください。基本的には、最後の曝露後から14日間は業務から外れる必要があります。積極的な体温測定や症状のチェック等のモニタリグンを受けなくてはなりません。曝露後濃厚接触した個人(他の医療スタッフ)がいれば同様の対応が必要です13。また、内視鏡室の消毒も不十分であれば、徹底して行う必要があります。

 

8.その他

CQ34. 経験の浅い内視鏡医が感染疑いあるいは確定患者に対して検査をしてもよいでしょうか?

Ans. 施行医の技術が未熟な場合には、経口的な検査では、挿入がスムーズにいかず、被検者の誤嚥や反射的な咳嗽を誘発しやすく、飛沫感染のリスクを高めます。大腸内視鏡検査においても送気量が多くなりがちであり、排ガスの頻度も増加し、結果として飛沫感染のリスクが高くなります9。全体的な検査時間が長くなることも予想され、全ての面で感染リスクが上昇するため検査をさせないことを推奨します16

 

CQ35. 患者毎にエプロン等を交換していると在庫が直ぐに無くなってしまいます。本当に全例での感染防護具の交換が毎回必要でしょうか?

Ans. 基本的には必要と考えます。それは、防護具が感染源になるためです。しかしながら、各地域・施設によって感染状況や防護具在庫状況は異なり、個人防護具がどの施設でも潤沢に使用できるとは限りません。以下をご参考に、施設ごとに具体的な方策を講じてください。

  1. 手袋は症例毎に交換してください。手袋の交換時には十分な手指洗いが必要です。
  2. ガウンは、毎回交換が好ましいですが、不可能の場合、汚染度を考慮した連続使用の判断が求められます。汚染およびその可能性がある場合、感染疑いや確実例の検査後には必ず換えてください。
  3. マスクも症例毎に交換できればよいですが、不可能の場合では、1セッション(例えば午前や午後の検査時間帯)は汚染されない限り使用可能と考えます。但し、汚染およびその可能性がある場合、感染疑いや確実例への検査後には必ず交換してください。
  4. フェースシールドも毎回交換が好ましいですが、不可能の場合、アルコール消毒で対応可能と考えます。但し、汚染およびその可能性がある場合、感染疑いや確実例に使用した後には必ず交換してください。
  5. キャップ、シューズカバーも毎回交換が好ましいですが、不可能の場合、1セッションは汚染されない限り使用可能と考えます。但し、汚染およびその可能性がある場合、感染疑いや確実例に対しての検査後では必ず交換してください12
  6. なお、汚染が無かったとしても連続使用は4時間までとしてください(防護具をつけたまま他の部屋などへの移動はしないでください)6
  7. 術者を含むスタッフの目鼻口を防護できる対策を徹底することが肝要です。従って、マスク、フェイスシールド、手袋を含む防護具のいずれかがなくなってしまった場合では、検査は行わないことをご考慮ください。こうしたところの緩みが感染拡大につながる恐れは否定できません。個人防護具が不完全の状態で感染者(後日判明した場合も含む)の内視鏡検査を施行してしまうと、その施設の術者を含むスタッフが曝露高リスクと判定され、14日間は業務から離れなくてはなりません。その上で、厳重なモニタリングの対象となることも十分にご理解ください13
  8. 個人防護具の節約のためにも検査に関わる人数を最小限にすべきであり、さらに、CQ3に記したような内視鏡検査の必要性の判断が極めて重要です。

 

CQ36. N95マスクは供給に限りがあるため、再利用も可能と言われています。どのようにすればよいでしょうか?

Ans. 内視鏡検査はエアロゾルが発生しやすくN95マスクを用いることが望ましいため、使用頻度も高いと考えます。使い捨てが好ましいですが、現状ではN95マスクの供給の見通しが立たないことから破棄せずに再利用に努めることが厚生労働省から提示されました12。以下の方法が提示されております。

  1. 滅菌して対応する方法:交換は1日1回とし、使用後は手術器具用にもちいられる過酸化水素水プラズマ滅菌器を使ってN95を滅菌します。3回滅菌するとマスクの性能が低下するためN95の利用は「2回まで」としております。滅菌の詳しい方法は、厚労省の事務連絡通知(「N95 マスクの例外的取扱いについて」)を参照してください。
  2. なんとか5枚確保してローテーションで使う方法:新型コロナウイルスはプラスチック、ステンレス、紙の上では72時間しか生存できないことが報告されていることから、N95マスクを1人につき5枚配布するとともに、使用したものを通気性のよいきれいなバッグに保管し、毎日取り替えて5日間のサイクルで使用する方法も提案されております。この場合の使用制限が記されておりませんが、他の防護具同様に明らかな汚染・損傷の場合には破棄してください。

 

CQ37. 防護具不足に対する工夫はなにかありますか?

Ans. 下記のようなことが報告されています。

  1. フェイスシールドは1症例ごとにアルコールで清拭するなども一つの対策です。なお、材質によってアルコールで拭くと視認性が下がることがあるため、中性洗剤で洗うことで再利用できるとされています。
  2. A4のクリアファイルと3Dプリンタを用いたフェースガードを自作する方法(http://www.project-engine.org/)が報告されています。
  3. マスクの消毒による再利用は推奨されていません。また、自作品では医療用マスクに比してその効果は半減しますが、多少なりとも効果はあるとされています。どうしてもの場合には、リスクに応じて使用をご検討ください。
  4. 厚生労働省がカッパやシュノーケリングマスクを代替品として例外的に認めています(https://www.mhlw.go.jp/content/000622132.pdf).
    • 袖付きガウン :体を覆うことができ、破棄できるもので代替可(カッパなど)。撥水性があることが望ましい。
    • ゴーグル及びフェイスシールド:目を覆うことができるもので代替可(シュノーケリングマスクなど) 。
  5. 袖付きガウンを自作して対処されている施設もあります(ビニールエプロンを前面と背面を覆うように2枚用い45リットルのゴミ袋で左右上肢を覆う、120−90リットルのゴミ袋用いて体幹部と左右上肢を覆うなど)。また、撥水性はありませんが、手術室などで用いる布ガウンや料理用の割烹着を使って対処している施設もあります。

 

CQ38. COVID-19の感染リスクを考えた場合、観察目的の上部消化管内視鏡検査では、咳や嘔吐反射が少ない経鼻内視鏡の方が適当と考えて宜しいでしょうか?

Ans. いいえ、 経鼻内視鏡検査が経口内視鏡検査よりも感染リスクが低いかは明らかにされておりません。確かに、経鼻内視鏡検査では経口内視鏡検査に比較して咳や嘔吐反射が少なく、エアロゾル発生による感染のリスクは低く抑えられる可能性はあります。しかし、感染初期より副鼻腔や鼻腔にはウイルスは定着しており17、鼻腔からのswabでウイルスの検査が施行されているのもこのためです。また、経鼻内視鏡検査においては、前処置の際の反射による嚔(くしゃみ)や咳嗽にも十分な注意が必要です。また、使用したスコープは汚染されている可能性が高いとの認識を持ち、スコープの取り扱い(特に運搬)には十分な配慮が必要です。内視鏡検査の延期が難しい場合は、臭覚異常等の感染徴候以外の鼻腔の症状にも注意が必要です。その上で、経鼻、経口いずれにおいても感染のリスクがあることを十分認識してください。何れにしても、適切な防護策を取る必要があることは言うまでもありません。

 

参考資料

参考1_新型コロナウイルス感染症 内視鏡検査前症状日誌 (案)

 参考2_アルコールフラッシュを行うことができない場合の対応方法オリンパス社製スコープ用

 参考3_アルコールフラッシュを行うことができない場合の対応方法富士フィルム社製スコープ用

参考4_アルコールフラッシュを行うことができない場合の対応方法 HOYA社製(PENTAX)スコープ用

 

文献

  1. Endoscopy NYSfG. Guidelines for Endoscopy Units during the COVID-19 Pandemic . 2020;https://www.nysge.org/Files/NYSGE Guidelines for Endoscopy Units During the COVID-19 Pandemic.pdf.
  2. AASLD A, AGA and ASGE JOINT GASTROENTEROLOGY SOCIETY MESSAGE: COVID-19  Use of Personal Protective Equipment in GI Endoscopy. 2020:https://www.asge.org/home/advanced-education-training/covid-19-asge-updates-for-members/joint-gastroenterology-society-message-covid-19-use-of-personal-protective-equipment-in-gi-endoscopy/.
  3. Ang TL, Li JW, Vu CK, et al. Chapter of Gastroenterologists professional guidance on risk mitigation for gastrointestinal endoscopy during COVID-19 pandemic in Singapore. Singapore Med J. 2020.
  4. Ang TL. Gastrointestinal endoscopy during COVID-19 pandemic. J Gastroenterol Hepatol. 2020.
  5. Repici A, Maselli R, Colombo M, et al. Coronavirus (COVID-19) outbreak: what the department of endoscopy should know. Gastrointestinal endoscopy. 2020.
  6. European Society of Gastrointestinal E. ESGE and ESGENA Position Statement on gastrointestinal endoscopy and the COVID-19 pandemic. 2020:https://www.esge.com/assets/downloads/pdfs/general/ESGE_ESGENA_Position_Statement_gastrointestinal_endoscopy_COVID_19_pandemic.pdf.
  7. Cortegoso Valdivia P, Le Grazie M, Gaiani F, Decembrino F, De’ Angelis GL. Separated pathways in the endoscopy unit for COVID-19 patients. Gastrointestinal endoscopy. 2020.
  8. Han J, Kim EY. Sharing Our Experience of Operating an Endoscopy Unit in the Midst of a COVID-19 Outbreak. Clin Endosc. 2020;53(2):243-245.
  9. Soetikno R, Teoh AY, Kaltenbach T, et al. Considerations in performing endoscopy during the COVID-19 pandemic. Gastrointestinal endoscopy. 2020.
  10. Gu J, Han B, Wang J. COVID-19: Gastrointestinal Manifestations and Potential Fecal-Oral Transmission. Gastroenterology. 2020.
  11. Castro Filho EC, Castro R, Fernandes FF, Pereira G, Perazzo H. Gastrointestinal endoscopy during COVID-19 pandemic: an updated review of guidelines and statements from international and national societies. Gastrointestinal endoscopy. 2020.
  12. Chiu PWY, Ng SC, Inoue H, et al. Practice of endoscopy during COVID-19 pandemic: position statements of the Asian Pacific Society for Digestive Endoscopy (APSDE-COVID statements). Gut. 2020.
  13. Yano K. CDC「医療施設における新型コロナウイルスに曝露した可能性のある医療従事者のリスク評価と管理のためのガイダンス」. CDC Watch. 2020;146:https://www.crbard.jp/Japan/media/Japan/General-Site-Images/Home/Images/CDCWatch146.pdf.
  14. 岩切 龍一, 田中 聖人, 後藤田 卓志ほか. 消化器内視鏡の洗浄・消毒標準化にむけたガイドライン. Gastroenterol Endosc 2018; 60: 1370-96. https://www.jstage.jst.go.jp/article/gee/60/7/60_1370/_article/-char/ja/
  15. 原田一道. 内視鏡機種と洗浄方法. はらだ病院内視鏡室. 2020.
  16. Thompson CC, Shen L, Lee LS. COVID-19 in Endoscopy: Time to do more? Gastrointestinal endoscopy. 2020.
  17. Gengler I, Wang JC, Speth MM, Sedaghat Ar. Sinonasal pathophysiology of SARS-CoV-2 and COVID-19: A systematic review of the current evidence. Laryngoscope Investig Otolaryngol. 2020;1–6.

 

▼過去の掲載実績

新型コロナウイルス感染症に関する消化器内視鏡診療についてのQ&A(2020年4月16日 第1版)

新型コロナウイルス感染症に関する消化器内視鏡診療についてのQ&A(2020年4月22日 第2版)

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