2021年5月15日
第101回総会期間中の令和3年5⽉14⽇(⾦)、本学会総会が100回を超えたことを記念して「日本消化器内視鏡学会第100回総会記念式典」がWeb開催されました。
式典開催にあたり、秋篠宮皇嗣殿下よりビデオメッセージにておことばを頂戴いたしましたので、ここにご案内申し上げます。
⼀般社団法⼈⽇本消化器内視鏡学会第100回総会記念式典がWebでの参加を含め多くの関係者の出席のもと、盛⼤に開催されますことを⼼からお祝い申し上げます。
さて、国内外ではCOVID-19の急速な拡⼤により、公衆衛⽣上、未だかつてない難局を迎えております。このような厳しい状況のもとで、貴学会は安全な内視鏡診療を提供するための提⾔を累次にわたって出されるとともに、会員の⽅々におかれては、国⺠の健康と地域医療を守るため、内視鏡診療を含めた医療活動に献⾝的に取り組んでおられると伺っております。このような皆様のご尽⼒に対し、深い敬意と感謝の意を表します。
⽇本における消化器内視鏡の始まりは、終戦の混乱から世情が落ち着き、新しい希望を求めて⼈々が模索していた1949年に、医師と光学技術者とが協⼒して胃カメラの開発に着⼿したことであると伺っております。この当時の⽇本では胃がんが多く、しかもそのほとんどが進⾏がんで発⾒されていました。それが胃カメラの普及に伴い、早期胃がんの内視鏡診断学が確⽴され、その後、⼤腸がん、⾷道がんの診断学へと発展してまいりました。さらに近年は、内視鏡治療の目覚ましい進歩と普及により、消化器系の多くのがんが外科⼿術ではなく、低侵襲の内視鏡治療で治癒できるようになったことは、患者への負担が⼤幅に減少し、早期の社会復帰を可能にしたことと推察いたします。
歴史を紐解きますと、貴学会は、1955年に「胃カメラ研究会」として発⾜し、その後「⽇本胃カメラ学会」、「⽇本内視鏡学会」、「⽇本消化器内視鏡学会」へと学会の名称の変遷があり、現在では会員数3万5千名を有する⼤きな学会へと発展を遂げられました。
学会の理念には、消化器内視鏡を通じて、低侵襲で良質な医療を提供することが目的としてあげられており、「患者に理解され信頼される消化器内視鏡医を育成する」という視点に⽴って、数多くの専門医の育成にも努めてこられました。その結果、現在では全国津々浦々で⾼い⽔準の内視鏡診療を受けられるようになっております。また、英⽂誌ʻDENʼの発⾏や、近隣のアジア諸国をはじめ、欧州、⽶国、南⽶など多くの国々との交流を通じて、全世界へ継続的に内視鏡診療を発信し、国際的にも指導的な役割を果たしておられます。
さらに近年では、IT技術の進歩と相まって、全国の内視鏡施設を結ぶ「内視鏡データベースプロジェクト」を実施し、世界最⼤のビッグデータの構築を目指すとともに、世界に先駆けてAIを活⽤した内視鏡診断機器を実⽤化されたと伺っております。
学会設⽴から60年余りを経て、我が国の消化器内視鏡医学が世界のトップに位置づけられていることを誠に喜ばしく思うとともに、これまで⼒を尽くしてこられた多くの⽅々に深く敬意を表します。そして、⽇本消化器内視鏡学会が第100回総会記念式典を⼀つの契機として、今後さらなる内視鏡医学の発展に寄与し、⼈類の福祉に貢献されることを願い、式典に寄せる⾔葉といたします。
秋篠宮皇嗣殿下のおことば(⽇本消化器内視鏡学会第100回総会記念式典:令和3年5⽉14⽇)は、宮内庁のウェブサイト(https://www.kunaicho.go.jp/page/okotoba/menu/70)にも掲載されています。
また、第101回総会のオンデマンド配信(5月20日~6月20日)でもWeb配信されますので、ぜひご視聴いただけますと幸いです。
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