2019年12月2日
電離放射線障害防止規則(電離則: 昭和47年労働省令第41号)等の放射線障害防止関係法令では,眼の水晶体の等価線量限界は年間150 mSvに定められています。しかし,2011年4月に国際放射線防護委員会(International Commission on Radiological Protection: ICRP)は「組織反応に関する声明(ソウル声明)」で,水晶体の等価線量限度に関して,「定められた5年間で平均20 mSv/年,かついずれの1年においても50 mSvを超えない」ことを勧告し,わが国における法令もこれに準拠して改正される予定です。
この法令改正が医療の現場に与える影響を検討するため,厚生労働省は2018年12月に「眼の水晶体被ばく限度の見直しに関する検討会(座長: 永井良三,自治医科大学学長)」を立ち上げ,2019年9月24日に報告書が取りまとめられました。同検討会には日本消化器病学会が参考人として参加しましたが,検討過程で以下の事項が明らかになりました。
これら状況を鑑みて,日本消化器病学会は日本消化器内視鏡学会と連携して,両学会の会員に周知,啓発を行うことになりました。放射線業務に従事する会員とメディカルスタッフは,個人線量計を装着することで法令順守を徹底するとともに,法令改正に向けて各施設で防御装置の整備,作業方法および手順の最適化に努めていただくようお願いいたします。なお,今後は日本消化器内視鏡学会が中心となって,会員およびメディカルスタッフを対象として,放射線防御に関する講習会等を実施することも計画しています。
令和元年12月2日
一般財団法人日本消化器病学会
理事長 小池 和彦
一般社団法人日本消化器内視鏡学会
理事長 井上 晴洋
参考資料:
眼の水晶体の被ばく限度の見直し等に関する検討会報告書の概要
眼の水晶体の被ばく限度の見直し等に関する検討会 報告書
(2019年9月24日付厚生労働省労働基準局安全衛生部労働衛生課電離放射線労働者健康対策室公表)