2019年1月15日
2018年11月25日の週に、十二指腸内視鏡検査後の薬剤耐性菌への感染について、複数の新聞等の媒体にて報道がされました。この事案は2015年に米国で問題となり、国内においては厚生労働省から「十二指腸内視鏡の洗浄及び滅菌又は消毒方法の遵守について」の通知が発出されていたところです。
日本消化器内視鏡学会(以下「本学会」という)では、この報道について当該十二指腸内視鏡メーカーに情報提供を求めました。それによりますと、今回の報道にある十二指腸内視鏡は、欧米向けに販売されている製品(内視鏡の先端キャップの取り外しができない型)であり、国内には販売されておらず、これまでに日本国内で問題となる事象の報告はないとのことでした。2015年に当事案が問題となった際に、当該メーカーが提供する取扱説明書や添付文書に則った適切な洗浄・消毒・滅菌を実施すれば安全に使用できることが確認されているとのことです。
上記に基づき、本学会の医療安全委員会では十二指腸内視鏡を用いた内視鏡的逆行性膵胆管造影検査(ERCP)を比較的多く行なっている国内14施設に十二指腸内視鏡の洗浄に関するアンケート調査、ならびに国内で十二指腸内視鏡を製造販売している3社から公表されている洗浄マニュアルを入手し、十二指腸内視鏡洗浄の現状把握を行いました。いずれの施設もメーカーから推奨されている洗浄方法に準じて対処していることが確認され、また、大半の施設においてはメーカー側が推奨している洗浄方法を基本とした十二指腸内視鏡用洗浄マニュアルを作成し、適切な対処がなされていることが把握できました。しかしながら、十二指腸内視鏡の先端には鉗子起上台が装備されており複雑な構造となっているため、通常の内視鏡洗浄よりも丁寧かつ確実な洗浄が求められます。本学会会員の皆様におかれましては、本学会から示されております「消化器内視鏡の洗浄・消毒標準化にむけたガイドライン(日本消化器内視鏡学会雑誌、60;1370-1396:2018)」に記載されております十二指腸内視鏡洗浄に関するステートメント(p1388、ステートメント3−6)をご参照いただいて、各ご施設での洗浄方法について再確認をお願い致します。その上で、十二指腸内視鏡に特化した洗浄マニュアルの作成についてご検討頂きたくお願い申し上げる次第です。
なお、2015年に本学会のホームページでお知らせした内容の再掲になりますが2015年当時に厚生労働省から発出された通知、ならびに2018年に当該メーカーからの情報提供文を添付致しますので、併せてご確認下さいますようお願い申し上げます。
一般社団法人日本消化器内視鏡学会
理事長 田尻 久雄
医療安全委員会
担当理事 村上 和成
委員長 入澤 篤志
<資 料>
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